東映YouTubeで配信された仮面ライダーアギトが最終回を迎えましたので今回は全体を通しての総括を。

仮面ライダーアギトはクウガに続く平成ライダーの2作目で歴代の平成ライダーの中で最高平均視聴率を記録したライダーでもあります。アギトの魅力はなんと言ってもクウガから続く重厚な人間ドラマと次々に提示されていく謎ではないでしょうか、特に次々に提示されて複雑に入り組む謎については通しで観ないとなかなか分かりづらいのではないでしょうか?(もしくは1週観ただけでは分からない?)こんな感じでアギトは非常に複雑で入り組んだ話ですのでタイではなんと様々な謎と伏線が回収される第42話を第1話より先に放送するという異例の事態にまでなってます。それくらいアギトは様々な謎が複雑で入り組んでる話というわけですね。



そしてアギトのもう一つの魅力は3人のライダー(後に1人追加されますが)による群像劇ではないでしょうか。“既に仮面ライダーである男”津上翔一と“仮面ライダーになろうとする男”氷川誠と“仮面ライダーになってしまった男”葦原涼という3人のライダーの物語が最初はそれぞれ点として別々に進行していきますが徐々に一本の線として繋がっていくわけです、その過程で様々な誤解で戦い合うこともあったり互いに理解して共に戦うこともあったりとドラマチックに3人のライダーの物語が展開していきます。途中から登場したアナザーアギトに変身する木野薫は当初は弟を救えなかったトラウマから人を救えるのは自分だけだという呪縛に囚われ自分以外のアギトを抹殺しようとしましたが翔一君や葦原さん、真島浩二君といった若者達の姿に心を揺り動かされた木野さんは最後は過去の呪縛から解き放たれて静かに息を引き取りました。

それと当初は前作クウガとの関連も示唆されていましたが(G3とG3-Xがまさにそれですね)様々な点においてクウガとアギトは異なる点がいくつかあります。まず一つ目にアンノウンの殺害対象についてです、基本的にアンノウンはアギトになり得る可能性のある人間と血の繋がった親族しか殺害しません、これは神である闇の力が人間を愛しているからでそれ以外の人間を殺してしまうと闇の力によって粛清されてしまいます。対してクウガに登場したグロンギは様々なルールを設定していますが基本的には不特定多数の人間を殺害しています。それとアンノウンは普通では有り得ないような不可能犯罪と呼ばれる方法で人間を殺害しますがグロンギは極めて残酷な形で人間を殺害していきます。それとグロンギはマスコミを通じて「未確認生命体」として広く世間に認知されていますがアンノウンは一般に広く認知されてるわけではなくアンノウンという呼称も警察の一部の関係者にしか使われていません。終盤においてアギトがアンノウン以上の脅威になるかもしれないと示唆された時はもしかしたらアンノウンはアギトの脅威から人間を守ってくれてるのかと一定の理解を示されましたがグロンギに関しては一切同情の余地の無い危険物極まりない存在というのも対象的です。二つ目に警察のアギトへの対応ですが当初は敵か味方か謎の存在という感じでしたがしばらくは対アンノウンの戦力として黙認していました(北条さんは度々アギト捕獲作戦を実施してますが)しかし終盤でアギトが人間の脅威になるかもしれないと知った時はアンノウン保護のためにアギトを迎撃します、これに対してクウガは当初はグロンギと同じく「未確認生命体」として射殺命令が出されていましたが一条さんの努力と五代の人柄で段々と警察全体でクウガをバックアップしていく体制が整っていくところも対象的です。それとクウガの警察は一条さんを始めとして基本的にみんな良い人達ばかりですがアギトの警察は一癖ある人達が多いです、特に北条さんは嫌味な言動で小沢さんと対立することもしばしばありましたが刑事としてはとても優秀でもあります。それと上層部もG3ユニットに対しては一貫して厳格な姿勢を崩しませんでしたね、これに対してクウガの未確認生命体対策班の松倉本部長は当初はお堅いお偉いさんという感じでしたが後に現場寄りの人間であることが示されました。そして五代と翔一君の人間性が決定的に異なります、翔一君は一度は己のアギトの力に悩み葛藤する姿が見られましたが五代は自分がクウガだからみんなの笑顔を守るために戦うんだと誰にも弱みや葛藤する姿を見せることはありませんでした、こうして見ると五代は人格が既に完成されてて翔一君はある意味人間臭いとも言えますね。



あと個人的にG3とG3-Xについても触れておきましょう、G3は未確認生命体第4号であるクウガをモチーフとして開発された特殊強化服ですがその強化服には大いにレスキューポリスで培われた技術が使われていると思われます。そして新たに開発されたG3-Xは当初はAIが完璧で繊細過ぎるため無我の境地にならないと扱えない代物でしたがそこにレスキューポリスの活動実績から得られたデータを元に作られた制御チップを埋め込むことでG3-Xは完成しました。こうして未確認生命体対策班の技術力とレスキューポリスの技術力が結集したG3-Xはアンノウンと激しい死闘を展開し最終的には限界を超える力を発揮して神の心を揺り動かし人間の行く末を見守ることを決断させます、これもエクシードラフトで神と悪魔の最終対決の中で限界を超える力を見せた隼人の姿を見て神が人間を見守ることを決断したことと非常に酷似しています。神の心を動かしたG3-Xの活躍はある意味ではレスキューポリスの集大成とも言えるのではないでしょうか?

というわけで様々な謎が入り組んだスリリングなストーリーと重厚な人間ドラマが魅力の仮面ライダーアギトを皆様も是非一度ご覧ください、今度Blue-rayBOXも発売されますのでそちらもチェックしてはいかがでしょうか?余談ですが翔一君の物語は正義の系譜、葦原さんの物語はHEROSAGAへと続いていきます。というわけで以上でアギトの総括を終わります。