2019年6月16日に「野の花の観察会と生け花体験」を長野県木曽町開田高原で行いました。

 
主催:フィールドソサイエティー・森林セミナーハウス
共催:ニゴと草カッパの会
後援:木曽町教育委員会開田教育事務所、池坊華道会
 
ニゴと草カッパの会は、昔ながらの馬文化の継承と採草地の自然の保全を目的に活動されている団体です。

木曽の方言でニゴ(ニオ)は干草積み、草カッパは草刈り場を意味します。
 
生活が木曽馬と共にあった木曽には、広い草カッパの里山があったといいます。

野焼きや草刈り、ニゴ作りが草地を維持し、桔梗などの秋草に代表されるような野草が多く自生していました。
 
もし、人の手が入らないようになると、温帯湿潤な環境下では、次第に森林へと遷移してしまいます。
 
草カッパはまさに生物文化多様性を表している場所といえるのです。
 
 
 
野の花の観察会では、末川研修センターを拠点に周囲を散策しました。
 
オダマキ
 
金鳳花
別名をウマノアシガタといいます。
葉がウマの足形に似ているという事がその名の由来だそうですが、あまり似ていません。
 
アヤメ
 
アマドコロ
似ているものにナルコユリがありますが、そちらは園芸品種となります。
ナルコユリは2~5の花をつけますが、アマドコロは2つしかつけません。
 
ナデシコ
秋の七草の一つです。
まだ季節的に花はつけていません。
 
ワスレナグサ
 
ムラサキツユクサ
 
カキツバタ
 
黄菖蒲
 
紹介したのはほんの一部ですが、これだけの草花が自生していました。

中には外来種もありましたが、日本原産の植物も多く残っています。

また、イタドリやウド、タラ、シオデなどの山菜も多く、子どものおやつになるなど、現地の人々の生活と植物が密接に関係しあっていることも、知識の深さにも感嘆したしました。
 
子供の頃、何かも分からずにスイバ(たぶん・・・)をかじっていたことを思い出し、毒でなくて良かったと、近頃よく思います。

 
その後、一部の植物を採取し、センターにて生け花体験を行いました。

器は竹を切ったものを使用し、中に吸水スポンジを仕込んでいます。
 
 
植物にはそれぞれに色や形、質感などの違いがあり、自然に生えているときには気づかなかった面白さがあります。
 
その面白さを生かして皆さんそれぞれの作品を作りあげました。
 
 
 
 
日本人は自然を支配しようとするのではなく、自然と共生してきた民族です。

それは、木曽馬と草原、そして人との関わり方を見ても一目瞭然です。
 
そうして維持されてきた環境は多種多様な生物の生きる場所となり、持続可能な社会を考える上でも見本となります。
 
今一度古くからある文化を見直し、守り、受け継ぐことが、未来を考える上でも重要なのではないでしょうか。