本書の二つの波とは
Ⅰサブプライム問題の影響
Ⅱグローバリゼーションによる影響
Ⅰサブプライム問題の影響
サブプライム問題の側面
①住宅バブルがもたらす実体経済への悪影響
②デフォルト急増による金融機関への損失拡大
ITバブルの崩壊→バランスシートの回復→企業は業績を回復するも①借金拒絶症
個人レベルでは②エクイティである住宅の購入の循環が一段落
バブルを防ぐためにFRBは政策金利を上昇③短期金利の上昇(長期金利は反応せず)
この三点により、サブプライムへの投資が始まる。
SIVはバランスシートから切り離す手法だったが、損失が拡大することにより、親会社はバランスシートに戻さざるをえなくなった(日本のバブル崩壊と逆の過程)
企業や家計は借金を返済するという視点が落ちていた。
米当局のリスクキャピタルを扱う機関は救済しないが、商業銀行については救うというスタンスからシステミック危機を防止するためには何でもやる。
具体策
金融資本投入の必要性にも関わらず、欧米の民間資本の毀損。国による公的資金には市民の反発。しかし資本を投入するしか方法はない。なぜなら、金融政策はバランスシートが毀損している以上、金融市場の機能不全を防ぐという点でしか意味がないく、減税の効果は一回限り。よって、民間のバランスシートが毀損している以上、公共事業を行うしかない。もっとも、公的資金は受け入れる側からは条件を付けられることにより、投入を拒否。(日本では公的資金は国民に返すべきという資本=借金というような風潮)それにより貸し渋り・貸し剥し(背景として値段のつかない時価会計の問題と証券化商品という不特定の相手を対象にした商品)
こうしした状況においては、財政際策によりGDPを維持することにより景気の回復を図るべき。通貨の切り下げは1930年代のブロック経済の誤りを招くだけ。もっともアメリカは財政赤字と貿易赤字。パラダイムシフトが必要。(急激な変化はドルの暴落を招くだけ)アジア各国がドルに対して15%の切り上げを行うべき。
日本についての考察
日本のバランスシート不況は回復しつつあるも①資産の積み増し②借金拒絶症③株式の持合いが問題となっている。バランスシート不況の問題点は「民間に資金需要が存在しない」ということ。これにより通常の不況とは正反対のことが起こる。
日銀が政策金利をむやみに下げなかった点は評価されるべき。
Ⅱグローバリゼーションによる影響
日本にとってのグローバリゼーションの台頭は中国。
日本は欧米と異なり、追われることに慣れていない。
Ⅲ日本はなぜリッチになれないのか
住宅を資本として捉えず、消費財としてしか捉えていないいから。
感想
サブプライム問題を理解する前提として住宅は資本であるという考え方を捉えておく必要がある。そうした考え方から住宅ローンはノンリコースローンであるとした考え方が導かれる。
本書もサブプライム問題を扱ったものであるが、住宅を資本として捉えるという切り口が前面に押し出されており、こうした視点は他の本には見られなかったので良かったと思う。
