本書は公認会計士が粉飾決算に加担したとして逮捕・起訴され、その後の高裁判決までを描いたノンフィクション。

読んだ感想としては、著者が有罪か無罪かは判断しがたいが、検察が会計知識に乏しいことは間違いないと思う。そして、同じように裁判官は会計知識が乏しいのではないかと感じた。

こうした経済事件においては知識の乏しい自分では著者が有罪か無罪かというのは判断しかねず、また当事者の一方の言い分しか聞いてないとからとてもじゃないが、判断できない。しかも、まだ係争中ですし…


ただ、現代の裁判においては各係争が専門化していることから、従来のような訴訟の方法では裁判官が的確な判断を下すことは不可能ではないだろうか。とりわけ近年問題とされている経済訴訟は実務と裁判官の感覚が大きく異なっているように感じられてならない。

こうした実務との感覚を少しでも近づけるためにも、会計に詳しい裁判官や検察を増やすべきだが、現状の司法制度では行うことが出来るとは思えない。

司法制度改革と称して法科大学院を設置したり、裁判員制度を採り入れたりしたが本当に必要だったのはそんなことよりも専門訴訟に対応できるような制度改革ではなかったのだろうか…

(こうした意見に対しては法科大学院を設置したのは多様な人材を受け入れるためでありそれにより各専門領域に詳しい法曹が生まれるという反論が予想されるが、現状のような法科大学院の出身者構成を見れば、的外れの反論としか言いようがない)