青山美智子と新川帆立の小説 | ike-masa-55のブログ

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北の地で、民族舞踊(コロナで停滞)と、読書に親しんでいます。

お気に入りの作家の小説に浸っています。

 

青山美智子 「月曜日の抹茶カフェ」



川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」
定休日の月曜日に、一度だけ「抹茶カフェ」が開く。
人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ケ月の
心癒される物語。

<心に残ったマスターの言葉>
「人でも物でも、一度出会ったらご縁があったってことだ。
 縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。小さくても
 地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい
 実がなったりするんだ。種のときは想像もつかないような」

「俺は思うんだけど、望み通り想定したままのことを手に
 入れたとしても、それだけじゃ夢が叶ったとは言えないん
 だよ、そんなふうに、どんどん自分の予想を超えた展開に
 なって、それをちゃんとモノにしていくっていうのが、
 本当に夢を実現するってことなんじゃないかな」



青山美智子 「月の立つ林で」



つまずいてばかりの日常の中、5人がそれぞれ耳に
したのは、タケトリ・オキナという男性にポッドキャスト
「ツキない話」だった。
最後に仕掛けられた驚きの事実と、読後に気づく見えない
繋がりが、大きな感動を呼び起こす。連作短編集。
オススメ本!

長年勤めた病院を辞めた元看護師「誰かの朝」
売れないながら夢を諦めない芸人「レゴリス」
娘や妻との関係の変化に寂しさを覚える二輪自動車整備士
                  「お天道様」
親から離れて自立したいと願う女子高生「ウミガメ」
仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩む
アクセサリー作家「針金の光」

月が、この物語に重要な役目を果たしています。
娘を持つ父親の私としては、「お天道様」の物語が
特に心に響きました。


青山美智子 「Your  present Red」

 



U-kuの華やかな赤い水彩画と、48篇の
ショート・ショート。
以前読んだ「My present Blue」に続く姉妹作。

<いいと思った作品>


「Conflict No.8」
体が言うことをきかないって、間違っていた。
私が、体の言うことをきいていなかったんだ。



新川帆立 「競争の番人」



警察でも検察でも税務署でもない――
独り占めを取り締まる「公正取引委員会」。
体育会系直情女子白熊楓が、毒舌系天才キャリア
小勝負勉とバディ組み、ウエディング業界にはびこる
悪を成敗する。痛快なミステリー。

<公取委の立ち位置>
他省庁に比べて人気も権力もない。
競争に関係する全業界を担当するから、特定の業界団体や
政治家との利権がないのも特徴の一つだ。気楽な反面、
後ろ盾がないから他省庁との小競り合いでは常に煮え湯を
飲まされる。

<立ち入り検査は事業者に対する宣戦布告>
公取委が摘発対象として調査を行っていると告げることに
なる。事業者の側でも摘発を逃れようと動き始める。

<公務員の立場>
悪い奴らは何でもアリで攻めてくる。
けれども正義の側は、曲った手段を使うことができない。
あくまで法令を遵守して戦わなくてはならない。


新川帆立 「競争の番人 内偵の王子」



九州の事務所に異動した楓が、地元勤務の内偵の王子
常盤、さらに本局の元同僚らと呉服業界の闇と対決する。
シリーズ第二弾。

<社会の歯車>
白熊自身、あちらこちらの事情に足をとられて、身動きが
とれない。自分の立場でぢきることは限られている。
部品のように使い捨てられるという感覚はあった。
だが自分たちの働きで、誰かを救い出すことはある。被害者
は見えにくい。どこにいるか分からない。けれどもどこかに
確かにいる。
どこにいるかも分からない、その一人を助けるために、
立派な部品になろうと思った。
社会の歯車、上等である。

<憎しみが活力に>
誰かを憎む気持ちは活力にも変わる。毒が薬になる
ようなものだ。


この「公取委ミステリーシリーズ」、もっと続いて
次作が読みたいです。

 

 

※ 読んだ本の紹介で、小さい画像は、図書館から

  借りて読んだ本です。

  システムから画像をダウンロードしています。

  買って読んだ本は、表紙をデジカメで撮影していて、

  画像のサイズが大きいです。

  今回は、全て借りた本です。