なぜ「下請」という言葉がなくなるのか?改正の真の目的
「下請法」という名前から「下請」という言葉が消えます。
これは単なる言葉遊びではありません。
この改正の背後には、日本のビジネス文化を変えようという強い意志があります。
■ 「下請」という言葉が持つ問題
「下請」という言葉には、どうしても「上下関係」のニュアンスが含まれています。
親事業者が上、下請事業者が下。発注する側が強く、受注する側が弱い。
こうした構図が、不公正な取引慣行を生み出してきました。
原材料費や人件費が上昇しても、「親」の立場を利用して価格据え置きを強制する。
手形払いで資金繰りを圧迫する。一方的に発注内容を変更する。
こうした行為が、中小企業の経営を圧迫し、サプライチェーン全体の持続可能性を脅かしています。
言葉としては「下請法」の方がわかりやすいですけどね(笑)
■ 用語の変更が示すメッセージ
改正法では、用語が以下のように変更されます:
- 親事業者 → 委託事業者
- 下請事業者 → 中小受託事業者
- 下請法 → 取適法(中小受託取引適正化法)
この変更は、「発注者と受注者は対等なパートナーである」という新しい関係性を示しています。
委託する側は「親」ではなく「委託者」、受託する側は「下請け」ではなく「受託者」。
上下ではなく、対等な協力関係を築くことが求められているのです。
■ 改正の真の目的
今回の改正は、3つの大きな目的を持っています:
- 対等なパートナーシップの構築:上下関係から協力関係へ
- 適切な価格転嫁の実現:コスト上昇を正当に価格に反映
- サプライチェーンの持続可能性確保:中小企業が健全に事業を継続できる環境づくり
名称変更は、企業の意識改革を促す第一歩なのです。
次回は、混同しやすい「フリーランス保護法」との違いを整理します。