ハンバーガーチェーンで有名なのはマクドナルド(マック)とモスバーガー(モス)ですね。どちらが好きですか?という話ではなくて、双方の商品戦略のお話です。

 

 マックとモスの戦略の違いは有名な話しですが、これも名著『「トレードオフ~上質をとるか、手軽をとるか~」著者:ケビン・メイニ―氏』に書かれている内容を切り口に考えて見たいと思います。

 商品やサービスを世の中により浸透させようと思えば、二つの軸を想定し、かつ、うち一つの軸は捨てなければならないというのです。その二つの軸とは、「上質」と「手軽」です。

 「上質」とは、ファンに愛され希少価値の高いもの。消費者に特別な経験を提供し、オーラを発し、ブランドとしての個性を持つもの。

 「手軽」とは、身近にあり必要とされるもの。入手のしやすさに加えで、価格が安価であるもの。

 さらに、この二つは両立しない、トレードオフの関係だというのです。

 

 それでは、マックとモスを比べて見ましょう。

 いかがでしょうか、マックは「手軽」に軸足を置き、「上質」は捨てています。反対にモスは「上質」に軸足を置き、「手軽」は捨てています。

 仮に、マックが「上質」な商品を提供して見たり、モスが「手軽」な商品を提供し出すようなことがあれば、おそらく消費者には受け入れられないことでしょう。現実に、ご紹介した書籍の中にはこのようにあります。

『マクドナルドはこれまでに何度か、テーブルクロスやウェイターサービスを用意したくつろげるレストランを開店したが、ことごとく失敗に終わっている。人々がマクドナルドを訪れるのは手軽だからにほかならず、この利点を生かしたまま高級レストランに変貌を遂げるのは不可能というものだ。』

 これがビジネスを成功させるための二者択一なのです。

 

 次にこの“二者択一戦略”で、アパレル業界の商品戦略を見て見ましょう。

 

 よく比較の対象となるアパレルメーカーの例として話題にされる、「ユニクロ」と「ZARA」です。

 それぞれの特徴をまとめて見ると....。

 ユニクロもZARAもアパレル業界では成功したビジネスモデルです。それでは、「上質」と「手軽」の軸で考えて見たいと思います。

 まず、ZARAですが、これは「手軽」が軸足となっています。相対する「上質」には、有名百貨店に出品するようなブランドファッションメーカーが位置します。流行ファッションを追うという若者のニースに、安さと手軽さを実現したビジネスモデルです。

 

 次に、ユニクロです。「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」を略したブランド名がユニクロとなっています。より良い素材を使い、長持ちするものを提供しています。戦略として「上質」に軸足を置いていると言えると思います。

 

 この「上質」と「手軽」の二つの軸ですが、成功しているビジネスモデルを当てはめて見ると結構腑に落ちるものです。

 『この軸で商売をやっているのか!』なんてね。

 

 ただし、決してやってはいけないことは、「上質」と「手軽」の両方を狙おうとしてしまうことだと言われます。前述のマックの上質狙いのようなものです。

 

 二者択一の世界を貫いてこそ、ビジネスの繁栄と継続があるのです。