“平均”という値をご存知でしょうか。

たとえば、「商品Aの販売実績だが、昨年度は対前年比50%の減少だったが、本年度は反転50%の回復が見込まれる」....は、元に戻ってしまうことなのでしょうか?

....(-50%(昨年)50%(本年))÷2年=±0%

 よく陥る錯覚ですね。

 

 金融機関との融資に係る折衝時なんかの折、この錯覚を狙って過去の実績などの説明などに用いたりします。金融機関の融資担当者に中には、勢い引っかかったりする人もいたりもします。

 

正しくは、以下のとおりです。

 

一昨年

昨年

本年

売上数量

100

50

75

対前年比

 

50%

50%

私たちがよく使う“平均”とは、算術平均のことで、いくつものアイテムの値を“足し算”し、アイテムの数で割って求めるものです。

 

今回お話ししたいのは、「成長の平均」という値の話です。成長の度合いを正確に測る方法です。

商品Bの販売数量ですが、投入初年度は100個でした。2年目は急成長をして初年度より80%伸びました。しかし、3年目は20%の伸びに留まりました。

では、商品Bの平均成長率はどれくらいだったでしょうか?....50%ではないですよ。

表計算ソフトなどを使って、将来の会計予測をするような場合、よく“過去平均”から将来値を予測計算することがあります。

 

■商品Bの平均成長率の計算

 

初年度

2年目

3年目

 

対前年比

80%

20%

算術平均成長率=50%

何倍になった

1.8

1.2

(1.8)×(1.2)2.16

答え

2.16

2.16

2.16倍の平方根-146.9%

3年間の平均は三乗根となります。

 お話しした成長の平均のことを「幾何平均」と言います。

 私たちがよく使う算術平均は、足し算で求める平均ですが、ご紹介した幾何平均は、掛け算で求める平均です。

 成長とは足し算ではなく、掛け算なのです。売上高・利益は掛け算で伸びていかなくてはなりません。

 この意味で、幾何平均のことを成長の平均値と呼ぶ人もいるのです。

 

 会計の分野では、よく平均値を使う現場があります。表計算ソフトなどで、簡単に(=average)などと算術平均で解を求めるだけでなく、成長分野では(=GEOMEAN)という成長平均を使ってみるセンスも必要なのではないでしょうか。