「利益とは企業存続のための条件であり、目的ではない」とはピーター・ドラッカーの言葉です。利益は企業が存続するためになくてはならないものという位置づけなのですが、利益のために会社が存在するのではないということです。
私流に言い換えると「美味しい食事(できれば…)は、身体を健康に保つための条件であり、人生の目的ではない」ってなことになるのでしょうか。
今回は、企業存続のための条件としての「利益」について私なりの意見を述べてみたいと思います。
会社の利益とは、会社が持つ何かがその形を変化させた結果だということです。
では、会社が利益に変化している何かとは、何でしょうか?
経営資源と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ」などもその一つだといえますが、今回は少し違った観点から会社の利益というものを分析してみたいと思います。。
■リスクという「利益の源泉」
『リスクのないところには、リターンはありません』って、個人向けの投資セミナーなどでよく聞かれるフレーズです。
同様にビジネスにおいても、リスクのないところにはリターンは存在しません。個人の投資とビジネスのリスクの違いは、個人の投資リスクは長期の時間軸上であり、ビジネスのリスクは中・短期の時間軸でのリスクという違いです。
ビジネスとは、日々リスクを収益に変えながら活動することと定義することもできるのです(利益はリスクの裏返し)。
では、普段ビジネスで取っているリスクのいくつかをご紹介します。
ロットのリスク
言い換えれば、売れ残りのリスクです。大きなロットで取引することにより生ずるリスクを言います。設備のリスク
いわゆる装置産業が取るリスクです。設備投資に潜むリスクを言います。人のリスク(時間のリスク)
人材を育てるために使う時間のリスクを言います。人は罪(=人罪)にも、財産(=人財)にもなります。決済のリスク
中小零細企業などの下請けが取るリスクです。得意先から加工賃として期日の長い手形などを受け取らなければならないリスクを言います。
様々なご意見はあるかと思いますが、ビジネスを素として捉えた場合、あらゆる企業や事業所は、自ら取るリスクを収益に変えることにより活動を継続しているといえると思います。
お好み焼きを大きなコテでひっくり返すように、自社が取っているリスクをひっくり返してそれを利益に変えている姿が、継続して利益を得ることのイメージです。自ら取っているリスクを上手にひっくり返さなければ利益に変えることはできないのです。
そしてたまに、小手先の技をミスった時には、リスクのコントロールを失ってしまい、よくない方向にビジネスが向かってしまうのです。これが行き過ぎた姿が倒産なのです。
自分が取っているリスクの種類と、その量的な程度を理解し、リスクをマネジメントしながら自社の目的達成のために継続して利益を上げ続けることが企業の宿命なのでしょう。
リスクを取らない投資には、リターンは望めません。しかし、リスクを取ったからと言って必ずリターンがそこにあるというわけでもないのです。そこが経営の妙味なのかもしれません。