東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合疑惑は東京地検特捜部と公正取引委員会が25日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で大手広告会社「電通」など2社の捜索に乗り出し、刑事事件へと発展した。東京大会を巡る一連の汚職事件に続き、新たな疑惑にも強制捜査が入り、大会関係者らの間に動揺が広がった。


「ウミ出し切って」

 東京都港区の電通本社には25日午前10時頃、特捜部の係官ら6人が捜索に入った。電通は今年7月26日、同社OBで大会組織委員会元理事の高橋治之被告(78)が受託収賄罪で4回起訴された一連の汚職事件でも関係先として捜索を受けていた。

 「会社からは、いまだに汚職事件についての説明もない」。男性社員は、憤りを込めてこう話した。この社員は取引先との信頼関係にも影響が出かねないと危機感を募らせ、「ウミを出し切らないといけない」と訴えた。

 談合の疑いが出ているのは、組織委が2018年に行った、各競技のテスト大会の計画立案業務に関する入札。電通や大手広告会社「アサツーディ・ケイ」(現ADKマーケティング・ソリューションズ)といった広告会社やイベント会社など9社と、共同事業体の1団体が落札した。

 特捜部は25日、同業務を落札した企業の一つで総合イベント会社の「セレスポ」(豊島区)の捜索にも着手。午前10時頃から係官ら30人超が次々と同社本社に入った。

組織委側にも

 捜索は、組織委でテスト大会の運営などを担当していた元幹部にも及んだ。

 「検察庁です」。川崎市内の元幹部宅では午前11時頃、係官ら3人がインターホン越しにそう告げ、敷地内に入った。

 一連の汚職事件を受け、組織委設立に関わった日本オリンピック委員会(JOC)などは再発防止の指針作成に向けたプロジェクトチーム(PT)を発足させ、今月18日に初会合を開いたばかり。来年2月をめどに指針をまとめる方針だが、新たな疑惑で強制捜査が始まったことで影響も懸念される。

 組織委(清算法人に移行)は「大変遺憾に思う。引き続き捜査には全面的に協力していく」とした。

読売新聞から(引用)
2022/11/25