読売テレビ放送から(引用) 


 昨年10月、和歌山市で、水道水を送る橋が崩落した問題で、原因が特定されました。事故を受けて、各地で新たな点検方法を模索する動きも出ています。(取材・報告 安部祐真記者)


 安部記者「崩落事故から7か月半が経ち、一部が川の底に沈んだ水道水を送る橋が復旧しました」

 和歌山市の紀の川にかかる水道水を送るための橋が、昨年10月突然崩落し、川の北側の地域で、約6万世帯が一時断水しました。

 市は、専門家による委員会を設置し、調査を続けてきましたが、関係者への取材で、崩落の原因が特定されました。

 それは「つり材」の破断です。

 橋には、アーチの部分と水が通る水道管の部分をつないで支える「つり材」という部材があります。崩落した水道管を支えていた18本の「つり材」のうち、10本が切れていました。

 コンピューターで解析した結果、「つり材」が切れたことで、全体のバランスが失われ、崩落につながったということです。

 鉄製の頑丈な「つり材」は、なぜ切れてしまったのでしょうか。

 腐食が激しかったのは、風による揺れを防ぐため、橋の完成から6年後に取り付けられた部材と「つり材」の連結部分です。雨水などが溜まりやすい形で、塗装も不十分だったことから、腐食が進んだとみられています。

 橋の崩落部分は、復旧に伴い風対策のための部材をなくし、「つり材」も太く強化されたものになっています。

 市は年に1度、目視による点検を行っていましたが、水が通る水道管の部分が中心で、上部の「つり材」の腐食は死角になっていました。

 調査委員会は、今後、点検方法の見直しや、橋の劣化対策の議論を進め、再発防止策を提言する方針です。

 この崩落事故を受けて、新たな点検方法を模索し始めた自治体があります。

 神戸市は、ドローンを活用する方法を検討しています。

 神戸市水道局配水課・伊賀正師課長「(これまでの目視点検では)見えない所、確認できてない所があった。たまたま、そこの劣化による事故がなかっただけかもしれないので、点検が必要だと感じている」

 将来的には、撮影した画像や動画を基にしたAIによる診断も視野に入れており、期待を寄せています

 老朽化したインフラをどう管理し、使っていくか。日本中がこの課題への解決策を追い求めています。