警察官から逃走中だった男の逮捕に貢献したとして埼玉県警川越署は、川越市内の中学校3年生3人(いずれも14歳)に感謝状を贈呈した。逃げる男に偶然出くわした少年たちのとっさの判断が逮捕につながった。


 「その男を止めてくれ!」

 7月1日午後4時頃、3人は同市の駄菓子店から出たところで叫び声を聞いた。よく見ると、数十メートル先で警察官に追われた外国人の男がこちらに向かって走ってきていた。

 急なことで驚いたが、中学生らは冷静だった。男が凶器を持っていないことを即座に確認。両手を大きく広げて進路を塞いだ。

 男の目の前には突然立ちはだかった生徒と、その後ろにいる2人の少年たち。男がたまらずひるんでスピードを緩めると、その瞬間を見逃さなかった中学生にそのまま駄菓子店の駐輪場に押し込まれ、追いついた警察官に取り押さえられた。一方、警察官の指示を受けた生徒は110番を押し、スマホを警察官に渡した。

 男は直前に近くのスーパーで食料品などを万引きしたとみられ、警察官が職務質問したところ逃走。3人が遭遇する前に民家の敷地内に一度隠れたのを警察官が目撃しており、住居侵入容疑で現行犯逮捕された。

 3人はサッカー部に所属している。この日は放課後に生徒の家に遊びに行く途中で、家に着いた後も「初めて手錠を見た!」などと目の前で起きた逮捕劇の興奮が冷めなかったという。

 感謝状の贈呈式で、小川英規署長は「まさにサッカーで鍛えたチームワークの勝利。勇気をもってやってくれた」と褒めたたえた。ある生徒は「焦って110番がなかなか押せなかったけど、逮捕に貢献できてうれしい」と語った。別の生徒は「刑事ドラマをよく見ていたので冷静に対処できたのかも」と笑い、もう1人は「感謝状をもらえるなんてありがたい」と話した。

読売新聞から(引用)
2021/8/1