【香港=藤本欣也】9月6日の香港立法会(議会)選に向けた民主派の予備選が12日、2日間の日程を終えた。主催者によると、投票者数は有権者全体の約13%に当たる61万人を超えた。市民は投票を通じて、中国が導入した「香港国家安全維持法」(国安法)への反対を表明した形だ。

 今回の投票は、香港政府高官が「予備選は国安法違反の疑いがある」と警告する中で行われた。

 12日、400人以上の行列ができた新界地区で投票をした女性(39)は、「もし投票することが罪になるなら、今ここで整然と並んでいる全員を、そして香港で投票した数十万人全員を逮捕すればいい」と憤っていた。投票の権利までも国安法で規制しようとする政府の対応に反発する市民は多かった。

 民主派は投票者数の目標として、昨年の区議会選で獲得した票数の1割に相当する17万人を掲げていた。実際には3倍以上の市民が投票した。2日目の投票者数は初日(約23万人)を上回る約38万人だった。

 予備選の準備に当たってきた元立法会議員の区諾軒(おう・だくけん)氏は12日夜、「香港人は再び奇跡を起こした」と述べ、政府が威嚇する中で投票所に足を運んだ市民の勇気をたたえた。

 民主派は前回2016年の立法会選で、定数70のうち30議席を獲得。今回は昨年11月の区議会選の圧勝を追い風に、初の過半数を目指している。13日以降に発表する予備選の結果などを踏まえ、候補者を絞り込む。

 立法会選への立候補の届け出は18日に始まる。親中派から「国安法に反対する者に立候補資格はない」との声が上がる中、政府の対応が注目される。民主派候補が今回の予備選を経て出馬しても、立候補資格を剥奪される可能性がある。

産経新聞から(引用)
2020/7/13