朝からいつもの桟橋で釣りをして、
昼からは一本松に1時間ほど泳ぎに行き、
帰りにメロン味のチューチューを食べながらのんびり歩いて帰って、
昼寝をして起きたらまた桟橋で釣りをして、
夕方に汗だくで帰って風呂に入って、
晩ご飯を食べたらいつの間にか寝てる毎年恒例の田舎暮らしの忙しい忙しい夏休み。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20170727/19/ikasamasi-2danshakuri/90/1d/j/o0640048013991811319.jpg?caw=800)
目の前すぐが海なせいか、
夏でも網戸にしてると夜は涼しいぐらいで、
首振り扇風機さえあれば快適に眠れるものだった。
が、
朝となると話は全く別だ。
湿度の高さでジメジメして、
しかも当然のように暑い上、
1万匹ぐらい鳴いてんちゃうか?ってぐらいのセミがうるさいの何のって。
そのせいでもうちょっと寝ときたい気持ちも折れてシブシブながら起きてしまう。
歯を磨いて顔を洗ってもまだ少しボ~っとしてる状態で冬は堀りゴタツになってるテーブルの前に座ると、
おばあちゃんがいい具合の冷たさの甘めのアイスコーヒーを出してくれる。
それを一気に飲み干すとまた少し目が覚めて、
何を見るでもないテレビをつけると地元の山口県代表がちょうど甲子園で試合をしているところだった。
これは応援しなければならない。
普段は兵庫県民な僕でも今は山口県民の気分なのだから。
しかし相手の高校はPL学園だった。
相手が悪すぎる。
阪神より強いんちゃうか?
っていうようなチームとやって勝てるわけがない。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20170727/19/ikasamasi-2danshakuri/86/33/j/o0640048013991811350.jpg?caw=800)
「パンとご飯とどっちがえぇ?」
と聞かれるといつも、
「パンと味噌汁」
と答える。
朝はトースト派なのだがおばあちゃんの味噌汁はちょっと別格なのだ。
関西の合わせとは違った麦味噌で、
正月の雑煮か?ってぐらい色々な具材が入ってるおばあちゃんの作る味噌汁は、
僕が思うにたぶん世界一の味噌汁だろうと思う。
おばあちゃんの味噌汁と西郷のおばちゃんのお好み焼きと山賊の山賊焼きはこっちに来たら譲れないものだ。
食べてから少しゆっくりして、
そろそろかわの釣具にエサを買いに行って桟橋で釣りをしようと思ってると、
1階の鉄工所から出てきたタックンおっちゃんが、
「今から四代に行くけぇ一緒に行くか?」
と言ってきた。
何かわからんけど普段と違うこともたまにはいいので行くと即答した。
鉄工所の軽トラに乗って、
近いのに普段あまり来ることがない大橋を渡って、
曲がりくねった山道なのに時々眼下に広大な海が広がる景色の中、
あまり乗り心地がいいとは言えないけど決してキライじゃない軽トラの助手席を楽しむ。
鉄工所の打ち合わせか何かだったみたいで用事はすぐに済んだ。
少しだけ四代の山でセミ捕りをして、
また曲がりくねった山道を走って大橋を渡る。
たまにしか来ないけど、
この大橋からの景色が僕は大好きだ。
右と左に広がる海と目の前には山の緑が続くコントラストは見事としか言いようがない。
いかにも島が多い瀬戸内の景色といった感じで、
壮大で優雅と表現するしかないぐらい、
ホント、息を飲む美しさだ。
170mしかない狭い海峡だけど、
1日に1000隻ぐらいのタンカーが通るそうだ。
こんな田舎だけどすごく重要な場所なんだなぁ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240714/21/ikasamasi-2danshakuri/d6/3c/j/o0384025515463125979.jpg?caw=800)
昼前には帰ってきて昼ご飯を食べる。
船の鉄工所を営んでいるせいか漁師さんからの頂き物が多く、
いつも刺身と魚のフライが出てくる。
刺身も魚フライも大好きだからいいのだけれど、
実家で食べるものとはやはり全然違うのは子供の僕にもわかる。
ハマチやタイの刺身は臭みが全く無くて旨みだけがある。
その旨みも鼻から抜ける風味がとても上品で深い。
魚のフライは何の魚かはわからないけど、
たぶんタイやスズキなんだろうと思う。
とにかく味が深くてジューシーで身がゴロッと大きくて、
ソースとかは何も掛けなくて充分というか、
むしろ何も掛けない方が美味しいぐらいだ。
でもタチウオの時だけはわかった。
タチウオのフライは魚のフライの中でもちょっとダントツすぎる旨さだから。
昼からはいつものように桟橋に出て釣りをする。
夏の太陽が容赦なしに照りつけて水面が乱反射してキラキラして、
海の藍色を引き立たせてくれる。
釣りをする時はいつも麦わら帽子と短パンとシャツとサンダルが僕の戦闘服だ。
海を覗くと今日もスズメダイやベラ、カワハギやサンバソウがうようよしている。
釣りのイメージってウキを見てジ~っと待つイメージかもしれないけど、
ここではそんなヒマな時間はまったく無い。
むしろずっとアタリっぱなしだし、
下手をするとエサが底に付く前に全部取られるぐらいの魚がいるので忙しくて仕方ない。
夏の暑さを感じるヒマもないぐらいずっと忙しく、
とにかく夕方まで夢中であっという間に時間が過ぎていく。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20181023/19/ikasamasi-2danshakuri/20/7a/j/o1209090714289663677.jpg?caw=800)
夜になって晩御飯を食べて風呂に入る。
風呂のフタを沈めてその上に体を乗せる。
いわゆる五右衛門風呂だ。
これがどうも苦手で、
何度直接釜に当たって「熱っ!」ってなったことか。
床はタイルじゃなくてちょっとザラザラした石みたいな感じになっていて、
もちろんシャワーなんてものは付いていない。
苦手ではあったけど、
意外とこの風呂が好きだった。
風呂から上がってカルピスをコップに1cmほどすすぎ、
氷を入れて水を入れる。
この風呂上がりのカルピスというものはとても夏を感じさせる。
不二家ののネクターも捨てがたいがやはりカルピスだ。
ごく稀に普通のカルピスではなくオレンジやグレープのカルピスがあるともうテンションはだだ上がりになる。
最近ではよくタックンおっちゃんに将棋を教えてもらっている。
「子供のうちに将棋をやると頭が良ぉ~なるんぞ」
と教えてくれている。
やりだすと負けると悔しいのでまた教えてもらう。
その繰り返しでしばらく夜は将棋にハマッていたものだ。
昼に台風や大雨で釣りに行けない時には、
将棋盤を出して「自分対自分」をやったりもしていた。
タックンおっちゃんからは将棋だけじゃなくオセロや花札も教えてもらった。
そのせいでただでさえやらなかった夏休みの宿題はさらにやらなくなっていった。
将棋をやると頭が良くなるの結果は、
この先おいおいわかってくることだろう。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140920/11/ikasamasi-2danshakuri/d1/d8/j/o0640048013072320335.jpg?caw=800)
田舎の夜は窓を開けているだけで涼しい。
まだ8月なのにスズムシの声が聞こえる。
ぐるぐるうずまきの蚊取り線香とたまに鳴る風鈴の澄んだ音色。
どこからか漂ってくる夏草の香り。
遠くからかすかにタンタカタンタカと聞こえてくる航行しているタンカーの音。
目の前の海は吸い込まれそうなぐらい真っ暗で、
その向こうにわずかに見える対岸の町の灯り。
空には満天の天然のプラネタリウム。
この中でシャクシャクシャク、プッ、と食べるスイカがたまらなく旨い。
明日は何をして遊ぼうか。
いや、どうせ釣りか海水浴しかないのだが。
そうだ、明日は桟橋じゃなくて波止の方でやってみよう。
おばあちゃんが言ってたけど明日も暑くなるそうだ。
また夏が来たんやね。
【ぼくのなつやすみシリーズ】
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