先程、雨の中を歩いて帰宅して、今週の仕事が終わった。
雨風が強い中、仕事をしながら、ずっと抱えていた「無価値感」について考えた。
子供の頃は、勉強が出来て、人より高い点数を取る事で、自分の価値を感じていた。
進学校に入り、勉強についていけなくなり、点数を取れなくなった。
それまで感じていた、自分の価値を見失った。
勉強が出来ないばかりか、周りの裕福な家庭の子供達と、いやでも比較してしまうようになり、劣等感を抱いた。
容姿も良い訳では無く、スポーツも出来ない。
更にイジメを受けた事で、自分の尊厳さえ見失っていた。
この頃に、無価値感や劣等感は醸成され、心に根付いた。
青年期は、そうした事をいつも感じていて、絶望感をもたらしていた。
「どうせ何をしてもうまくいかない。」
「自分はダメな人間だ。」
新しい友人が出来て、楽しくやっていても、そんな自分からいつかは離れていくと思っていた。
彼女が出来ても、いつも自信が持てなかった。
絶望を感じ、それを跳ね返す事も出来ず、まるで自傷行為のように、ギャンブルにのめり込むようになった。
無価値感を感じ、自己愛も持てず、犯罪などは犯す事はなかったが、何の努力もせず、自暴自棄な人生を歩んで来た。
周りには、自信の無さから、過剰に気を遣い、常にストレスフルだった。
自分に価値を感じられないので、いつも不安だった。
そうした事をどう解決したらいいのかも分からず、居場所も無いままに、ギャンブル場に通い続けていた。
不思議と辛さや悲しさは無かった。
当時の自分は、心を無くしていたように思う。
魂が抜けたように、何も感じなかった。
無価値感のまま、居場所もないまま、ギャンブルをやり続けるのが自分の人生なんだろう、くらいに本気で考えていた。
30歳を過ぎたあたりから、それなりに仕事を頑張るようになると、周りから評価されるようになった。
評価され、収入は上がり、そこに自分の価値を見出すようになった。
30歳半ばから45歳くらいまでは、まさに寝る暇を惜しんで、がむしゃらに働いた。
会社の評価を得る事だけが、自分の価値であり、それを失う事が怖かった。
当時を振り返ると、仕事以外で、周りから慕われたり、褒められるような事があっても、自分はそれを受け入れられなかった。
彼女や元嫁さんから愛されても、自分自身に価値を感じておらず、自己愛も無かった為、それを受け入れられなかったのだろう。
同様に、周りの人に対しても、数字や表面的な事で、厳しく評価をしてしまっていた。
元嫁さんの事は好きだったが、同じように厳しい事を言っていた。
自分や周りを値踏みしては、ダメ出しをして、まだまだ!と、誰に対してもそのような目で見ていた。
無価値な人生に、小学生以来、初めて評価された仕事で成果を出す事こそが価値だと、盲信していた。
この頃、無価値感は感じていなかったが、自分や人そのものには、価値を感じてはいなかった。
仕事の成果を出せる自分や、それに伴い上がる収入に対して、価値を感じてはいたが、何処でいつも不安を感じていた。
そんな考え方では、家庭などうまくいくはずも無く、二度目の離婚をした。
そこから10年近くになる。
ようやく、何も無くても、自分の存在自体に価値を感じられるようになった。
人に対して変に気を使うのでは無く、心からやりたいと思うことが出来るようになった。
劣等感は無くなり、人に必要以上に尽くす事も無くなった。
気後れも無く、堂々と立ち振る舞うようになった。
子供の頃に感じた無価値感によって、散々苦しんで来たが、40歳を過ぎるあたりから、それを跳ね返そうと必死に生きて来て、たくさんの気付きに恵まれて来た。
10年間の修行とも言える期間を、もがき苦しみながら、必死に生きて来た。
このタイミングで、両親から愛されていた事を思い出した。
両親から、「あなたは生きて入るだけで価値があるんだよ。」と、愛されていたのに、自分はそれを受け入れられずに、40年以上に渡り、勝手にもがき苦しんで来た。
ただ、苦しんだ事によって、多くの気付きを得て来た。
ようやく、根底に根深くフッキングをしていた無価値感を手放すと、青年期に抜けたように感じていた魂が戻ったように感じ、力がみなぎって来る。
今日、そんな事を考えながら、仕事をしていると、
「本当に長い間、苦しんで来たね。無価値感や絶望感を感じて、自分を愛する事も出来ずに、よく諦めずに、ここまでやって来たね。こんなに苦しんで来たんやから、絶対に幸せにならなろうよ!もう自分を苦しめるものは無くなったよ!苦しんだままでは、終われないよね。だから、絶対に幸せになろうよ!」
そんな風に思うと、涙が溢れて来た。
40年以上に渡る、長いトンネルを抜けたような気がする。
自分の本来の価値を取り戻し、それを確かめるように過ごしている。
価値を取り戻した自分をもって、世の中や世の人の役に立ち、良き人と繋がり、愛するパートナーと暮らし、豊かな人生を手に入れる。
「散々苦しんで来たんだから、このままでは終われないよね。」
「そろそろ本気で幸せになろうよ!」
そんな声が聞こえると、これまで、嫌な思いが無くならなかった人に対しては、
「それでも、まぁ、元気で頑張ってよ。」
くらいにしか思えなかったのだが、分けて考えるのが面倒になり 笑、
「もうええわ!もう、みんなまとめて、幸せになったらええやん!」
と思えた。
そんな思いになると、自分に対しても、
「俺も必ず幸せになろう!」
と素直に思えた。