昨日もバーで飲んだ。
後輩と2人バーに入ったのは、確か0時を回る頃だった。
カウンターには3人の男がいたのだが、1番左端に座る大きな体をした男、年は60歳くらいか?、が、やたらと大きな声で話している。
大きな声でバーテンの彼女に散々絡みまくる。
自分たちと大きな体の男の間に座る男性も、少々迷惑そうに顔をしかめている。
言ってる事はすでに訳が分からない 笑
ただただ、デカイ声で彼女に訳の分からない話をし続けている。
このバーでは、度々、クセが強い人に出くわす。
先のブログに書いたブロンソンやフナキングだって、かなりクセが強い。
フナキングは航空力学かなんかに精通しているらしく、力学に関する訳の分からない話をし続ける。
ブロンソンは話は普通なのだが、口ヒゲをたくわえた見た目のクセが相当強い。
最近はあまり会わないが、ナナヒカリさんやインチキ神主も相当なクセモノだ。
ナナヒカリは、おそらく50代の引きこもりで、いつも彼の人生の不幸さをひたすら嘆きつづける。
インチキ神主もよく分からない神さまの話をひたすら続ける。
音楽が好きな50代フリーターのキタロウさんは、
バーテンや周りの人に絡みながら自身の音楽のマニアックな知識を話し続ける。
ブロンソン以外の皆に共通するのは、人が聞いていようがいまいが、理解していようがいまいが、お構いなしに話をし続ける。
その様は、先のブログにも書いた事があるのだが、小学生がお母さんに延々と話し掛けている様だ。
あのね〜 僕ね〜
今日学校でね〜
となりの美代ちゃんがね〜
大概は綺麗で優しそうなバーテンの彼女に話を聞いてもらいたくて来るのだが、たまに隣に座っている自分の様な他の客がつかまる事もある。
適当に相槌を打ちながら聞いていると、彼等は延々と止むこと無く、訳の分からない話を話し続ける。
自分の事を話したく、分かってもらいたいのだろうが、時に彼等は独特の攻撃性を見せる。
急に口が悪くなったり、声を荒げたりするのだが、大概は軽く諌められると、すぐに収まる。
どうも、分かってもらいたい、構ってもらいたい気持ちが強く出過ぎると、攻撃的になる様なのだが、バーテンの彼女に少し怒られると、まるで小学生がお母さんに叱られた時の様な表情を見せる のだ 笑
話を聞いてもらいたい。
たまには叱って欲しい 笑
困った大人達 笑
優しそうな彼女に構ってもらいたくて皆、このバーにやってくる。
自分も構ってちゃんだとは思うが、他の客があまりにクセが強いので、あまり構ってちゃんを出せずにいる 笑
ただ酒が好きなだけなら、ウチで1人で飲めばいいのだが、いくつになっても誰かに構って欲しいのだ。
たまに、バーに来ていながら、構って欲しくないオーラを出す人もいるが、あれだって、きっと無闇に話しかけて欲しくは無いが、構って欲しいからバーに来ているに違いない。
中には喧嘩をふっかけるのも居るが、それも構って欲しさが過度に出過ぎてしまった場合が多いんじゃ無いかと思う。
昨日の大きな体の60代の男も、声を荒げて彼女に散々絡んでいたのだが、少し彼女に諌めらると、
「もう、帰っていいかな?」
なんて、まるで怒られた小学生の様な、お茶目な事を言いながら、大きな体を小さくして帰って行った 笑
バーテンの彼女は時に困惑しながらも、クセが強い客をうまくあしらう。
皆、彼女に諌められると、お母さんに叱られた小学生の様な表情を見せる。
それが50代や60代のオッさん達なのが、見ていて面白くなる。
そういう自分も最近、ちと酒癖が悪くなってきている。
バーテンの彼女に絡む事は無いが、時にとなりの客を、からかいたくて仕方が無くなる。
先日も、隣に座った少し歳上の人に、ひたすらバーベキューに連れて行けと迫っていた 笑
嫌がる彼に、別に連れて行って欲しくも無いのにしつこくせがみ続ける。
席を離れ様とする彼の腕にしがみつき、もう一度座らせ、バーベキューに連れて行けとせがみ続ける 笑
知らぬ間に、自分もクセが強くなっている 笑
まだ、コミュニケーションを保とうとはしているが、そのうちフナキングやナナヒカリさんの様に訳のわからない話を、半ば焦点が合わなくなった目をしながら、延々とする様になるのかも知れない。
バーベキューに連れて行けとせがんだ相手が、実は同じ会社のかなり偉いさんだったのを知ったのは次の日で、少し青ざめた😱
もし会社で彼に会ったら、再びバーベキューに連れて行けとせがむのか、それとも、全く覚えてない素ぶりを見せようかと悩ましいが、どうせ彼もロクに覚えてはいないだろう 笑
そんな事を書いていながら、バーや彼女やクセが強い面々の事を想っていると、また変な感覚になってくる。
フナキングやナナヒカリ、神主や大きな体の男、彼等はバーでしか会った事が無いのだが、彼等が本当に存在しているのかどうか?が分からなくなってくる。
曖昧なバーの記憶の中だけに彼等は存在していて、虚ろな目をして延々と訳のわからない話をし続けている。
もしかしたら、彼等はバーの開く0時から5時の間にしか存在していない様な感覚にすらなる。
それ以外の時間は彼等は存在せずにいて、バーが開くと時空の歪みを抜けてヌルリとやってくる。
そして、ひたすら訳の分からない話を、虚ろな目をしながら話して、構われた事に、叱られた事に満足して、また元の次元に戻っていく。
そんな事を考えていると、そもそもバーも存在しているのか?という気にすらなってくる。
もしかしたら、瓦礫がある空き地で皆が板やレンガをカウンターに見立てて飲んでいるのかも知れず、そんな事を考え始めると、また記憶が曖昧に歪み始める。
バーテンの彼女は本当はキツネなのかも知れず、彼等が異次元に迷い込み、そこでいつもは決して出さない強いクセを出しながら酔いつぶれていく様を見て、微笑んでいる。
もう何回と店に通っているのだが、未だに次に行った時には瓦礫の空き地しかないという懸念が消えない。
瓦礫の中に佇むバーテンの彼女だって、コンッ!🍂と目の前から突然消えてしまうのかも知れない。
そんな事を考えてしまうくらいに、バーに集まる客はクセが強い 笑
きっと今頃、皆、昨晩飲み過ぎて、ひたすらイビキをかきながら寝ているのを想像すると微笑ましくなる。
知らぬ間に、バーやバーテンの彼女だけじゃなく、クセが強いバーの住人である彼等の事を好きになっている自分がいる。
きっと自分も同じ様にクセが強い、のだろう。