話は戻って、

小佐野中学との試合の結果は小技の積み重ねで何とかもぎ取った貴重な1点を、チームの堅守とエースの山田くんの好投で何とか守り切った(山田くん:7回完封)。私の見せ場と言えば1点を先行した次の回に2死満塁と攻め立てられた時、三遊間のライナーを横っ飛びで掴んだのが唯一で、攻撃では3番打者でありながら菊池くんを全く打てず、精彩を欠いた。

 

準決勝の相手は、確かその年の前年に3つの中学が合併したばかりで校舎も校庭も新しくなった海沿いにある東中学だった。ここは、東日本大震災の津波に4階建ての校舎の全てが飲み込まれたが、登校していた生徒全員がそれまでの避難訓練の経験を生かし、一人の死傷者も出さなかったことで全国区になった。

 

その中学のエース古川くんも素晴らしいボールを投げていた。オリエントエクスプレスと言われた西武ライオンズの郭康源を思わせるような非常に切れの良いボールをスリークォーターから投げていた。

 

彼が投げるボールを打って点数を獲れるような雰囲気が全くないまま5回の表に1点を先行された時には、このまま負ける覚悟をした程だった。しかしその裏、内野安打と四球の2死1,2塁で代打の丸子くん(2年生)がどん詰まりながら右中間にポトリを落ちる2塁打を放ち2人の走者がホームを駆け抜けた。信じられないような逆転劇だった。その後はエースの山田くんが危なげ無く相手打線を抑えてくれたので私たちは決勝へと進むことができた(山田くん:7回1失点完投)。私と言えば、エラーこそ無かったものの攻守ともに見せ場が無く「決勝こそは…」という思いだけが残った。

 

尚、相手エースの古川くんも小佐野中学の菊池くんと同様に特待生として高校で野球を続けたはずだったが、その後のことを全く知らない。東中学で古川くんのボールを受けていた川崎くんは、地元の教育委員会で仕事をしているようなので機会があれば是非彼に聞いてみたいと思っている(今頃?)