ホテルでの滞在が長期間になると、途中でそれまでの分の支払いなのか身元の再確認なのか分からないがクレジットカードの提示を求められる。ホテル側からその連絡があったので、フロントのスタッフにクレジットカードを提示したところ何かゴソゴソと操作をした後に「このカードは使えない」と言ってきた。はぁ?これは今回の出張用に会社が手配してくれたゴールドカードだぞ。昨日は問題なく使えたので、再確認を依頼したが結果は同じだった。仕方が無いのでホテルに預けていた現金を出してもらい、その中からそれまでの滞在費を支払った。クレジットカードが使えないとなると、その後の現地での活動に支障を来す可能性が高いので、部屋へ戻って直ぐに日本へ連絡して状況を説明した。

 

すると翌日(だったかな?)日本から「私が所有しているカードに問題は無い。カード会社からホテルへ苦情を入れた。」という回答があり、それ以降ホテルのフロントで私のクレジットカードが使えないと言った彼の姿を見掛け無くなった。ホテルのロビーのような公共の場所にかなり大きな文字で「DOWN with AMERICA」というアメリカに対する攻撃的な文言が表示されているが、現地では100$札にかなりの価値があり、とある筋で両替すると…というような背景があったらしい。実際の支払いは正しく処理されていたことから、そのフロントの彼は私がホテルへ預けていた100$札を彼自身が所有していた現地通貨と両替し、その現地通貨で私の分の支払いを済ませたようだった。

 

私に金額的な実害は無かったが、私が100$札を含む米ドル札を貴重品の一つとしてホテルへ預けたことを知っていた彼は、魔が差してそのような行為に及んだのかもしれない。それを知った時に私は、いつどこでどんな事件に巻き込まれるのか分からないなぁ、と感じた。