今は便利な腕時計があってランニング中の心拍数だけじゃ無く走った距離やそのコース、更にはその高低差まで表してくれる機能まで付いている。年に一度の健康診断では「心拍数:60回/分前後」であり、この結果が要注意とはならないので恐らく平均的な値だのだと思う。

 

初めて心拍数を測定できる腕時計を買ったのは30歳辺りだったので今から35年前になる。その測定は常時監視ではなく腕時計の表側(?)時刻表示のすぐ下にあるセンサー部分に腕時計をしていない方の指先を数秒間置くとその時の心拍数が表示される、というもので安静時(と言っても会社での会議中とか)は43と表示されたことを覚えている。その頃に読んだ雑誌では、マラソンの瀬古選手や宗兄弟(選手)、それにテニスのボルグ選手は30以下である、となっていたから驚異的だ。練習で身体を鍛えることでこのような領域に達したのかもしれないが、恐らく生まれ持っての部分も大きかったと思う。

 

私の心拍数が43前後だった頃、勤務先の健康診断で「同性徐脈」と診断されたことがあった。「徐脈」と聞いて「脈が無いことが時々ある?」ってことか、と心配していたのだが、勤務先の陸上部に所属していた菅原さん(若い頃は瀬古選手と同じ表彰台に上がったことがあり且つ20キロの元県記録保持者でもあった、そんな超強烈なランナー)が昼時間の練習中に「同性徐脈と診断されたことがある」と誰かに話していたことを横で聞いた私は、自分も部分的に強烈ランナーの仲間に入れたような気分になって嬉しくなり、心配が一気に吹き飛んだ記憶がある。

 

加齢とともに徐々に安静時の心拍数は上がり(上記の結果から計算すると+0.57回/年)、同時に最大心拍数は下がってくるのだから、変動可能な心拍数が年々狭くなるのは明らかだ。この状況を踏まえ科学的根拠に基づいた練習をすれば、それなりには速く走れるようになるのだろうが、そんな小難しいことは出来ない性分なので恐らくこれからも「走りたくなったら何となく走る」ということを続けるのだと思う。