本書は新潮文庫として平成20年4月1日に刊行された。
城山さんの本は『毎日が日曜日』、広田弘毅を扱った『落日燃ゆ』、『官僚たちの夏』、石田礼助を取り上げた『粗にして野だが卑ではない』と、読んできたが、ご無沙汰していた。
最近、娘さんの井上紀子さんの『父でもなく城山三郎でもなく』を読んだが、紀子さんご本人のことばかりで、途中で読むのを止めていた。
父でもあり、小説家城山三郎でもありの視点で書いてもらいたかった。
それもあり、城山さんに申し訳ないと、今回借りてきた本を読んだ。
毎日が日曜日を書く動機になった背景や井深大さんからの電話で岐阜県の中小企業を取材した話などは面白かった。
あっと思ったのは城山さんが二人ゼミナールと称して大学の恩師と会っていたことである。
城山さんは大学の講師以外は文筆業で生き抜いていた人である。
電車の中での児童の行ったり来たりする姿を見て心配したり、嫌いな都心に出かけることが4日間続き、義歯を破損するほど大けがをしてしまったりの話には共感を覚えた。
城山さんは還暦のときにメモを書いた。
(一)年齢に逆らわず、無理をしない
(二)いやなことはせず、楽しいことをする
(三)睡いとき寝、醒めたら起きる(昼夜を問わず)好きなものだけ食べる。但し午後八時まで
(四)義理、面子、思惑をすてる。つまり、省事で通す
(五)友人をつくり、敵をふやさない
毎日が日曜日のわたしにとって、非常に参考になる。
わたしはこの随筆を読んで、ひしひしと城山さんのお人柄に触れることができた。