本書は中公文庫として2011年9月25日に刊行された。

 筆者は歌人である。

 わたしは千年ごはんのタイトルに引かれた。

 千年もの長い歴史を背負ったごはんをこの筆者がどのように書いているのか舌なめずりをしたのである。

 その舌なめずりを、筆者はみごとに筆の力で満足させてくれた。

 ごはん、蜜柑、この筆者にかかるとなんでもおいしくなる。

 筆者は一話について自分の歌で締める。

 その歌がおいしいのである。

 発句がいい。

 締めもいい。

 ひさしぶりに、お話と歌とが腹中を豊かにしてくれた。