本書は『小島信夫批評集成』の第8巻として2010年11月10日に刊行された。
小島信夫は『抱擁家族』で知り、わたしの通学通勤の道にご自宅があった。相性という言葉がある。これは作家と読者との間にもあるのではないかと思っている。ここまで身近な存在であったが、『抱擁家族』は数行読んだだけで読書中断した。
つまり、読み始めで相性の悪さを感じ止めてしまったのである。
それから40数年たつが、再挑戦のつもりで本書を手に取ったが、この筆者との相性の悪さは現在も健在であった。
筆者の意図がまったくわからないまま読み進めたが、次第に腹が立ってきてしまった。
話題があちらこちらに飛んでしまいついていけない。
同感できたのは漱石の作品は読んだ時の年齢によって受け止め方が違うというところであった。
わたしは20代前半のとき漱石を読み、60代になってまた読み直している。
20代前半のときはすらすら読めた。しかし、60代に読むとなかなか引っ掛かりが多くなりぎこちなくなっている。読みづらい作品になってしまったのである。
筆者には申し訳ないが、相性の悪さはあるというしかない。
それでも600ページ超の本書を完読しただけでも何かをわたしの心に残してくれたのではないか。