本書は清少納言が平安時代中期に書き上げた随筆文学の傑作『枕草子』を昭和の才女大庭みな子さんが現代語訳して2014年2月14日に岩波現代文庫から刊行された。

 古語に造詣がまったくないわたしとしたら、このような現代語訳でなければ、1段として読み進めることはできない。

 ついにほぼ枕草子の完読であった。

 いい現代語は古典のよさを失わない。

 大場さんの感性は、清少納言を正確にとらえ、現代語訳に反映していると思った。

 あきずに、ぐいぐいと清少納言の世界に引きずり込んでくれるのである。

 清少納言のよさは、滝、川、草、森、原、雪、日、月、星、雲などを複数挙げて描写する力である。

 また、自らが仕えた中宮定子の美しさ、気持ちを率直に表現するさまは好感が持てた。

 一番おもしろかったのは、第184段の「はじめて御殿にあがったころ」である。

 その情景が見事に描かれ、才女清少納言と言えども職場の人間関係、役割などまったくわからないので茫然自失せざるを得ない。そこを見事に描ききっている。

 思わず、新入社員として5月の連休明けに配属先に出向いた自分の姿を思い出してしまった。

 次は『古事記』ぐらい読んでみよう。