本書は2014年4月30日に河出書房新社から刊行された。

 上巻と比べ、物語の展開がわかりやすく楽に読めたが、丸山さんの言葉に引きずり込まれないように、距離を置きながらの態度で接した。

 読み終わったとき、これはおとぎ話だと思ってしまった。

 物語は思ったとおり、崇高な娘瞽女を中心に進み、特攻隊帰りの青年とここ巡りが原で出会わせる。

 栄養失調と心を失った青年を娘は助け、看病をする。

 しかし落雷が娘、青年、黒牛を一瞬のうちにその存在すら残さないように消し去る。

 それでも筆者は人間二人と一頭の黒牛をあの世から呼び戻す。

 娘は黒牛に乗り、三味線を弾きながら明るく歌を歌う。

 青年は元気に黒牛を引く。

 若い男女と黒牛が巡りが原で巡り会い、新しい人生を紡ぎだす。

 最近、乳母車に複数の犬を乗せて散歩する初老の女性を見かける。

 人間だけでは生きていけないのだ。

 人間と黒牛は手を取り合って生きていくのだろう。

 現代のおとぎ話は巡りが原で巡り会った、人間と黒牛を主人公に大切な出会いとは何かを語りかけてくれた。