さくらが枝にしがみついている。

 痛々しいが風情がある。

 この時期になると、風がさくらの大敵になる。

 強い風が落下繚乱にさくらの花びらを吹き散らす。

 花びらは歩道、車道に舞い落ちる。

 歩道に下りる花びらは買い物に行く人々のほほにあたる。

 うれしそうに声を上げる。

 車道側に敷き詰められた桜の花びらの絨毯は、疾走する車によって車と同じ方向に舞い上がる。

 人を喜ばし、地に落ちた花びらは、最期の舞を舞う。

 ああ、いいなあ、命の短い花びらであっても、命を失っても自分を失わず自分を振る舞う。

 この桜のふるまいを、わたしは清々しい気持で見ていた。