本書は『宮本常一講演選集3』として一般社団法人農山漁村文化協会から刊行された。本シリーズは全8巻で構成されるが刊行中である。
本書は、
1.社会生活の変貌と新生活運動
2.祭りと若者
3.都市文化と農村文化
4.明日を信じて生きる
5.ふるさとの心
6.手づくりの地域文化
7.地域づくりと文化
8.日本における地方の意味
の八つの講演でまとめられている。
宮本常一は日本全国の農山漁村を訪ね歩き、民俗学的視点で、現場に残された資料、人間と話し合って、日本を理解しようとした人間である。
宮本の有名な著作物は当初未来社で刊行し、現在は岩波文庫に収載されている『忘れられた日本人』である。
われわれが知らない世界を突然発掘し、知らしめてくれるのが宮本の真骨頂なのだが、本書にもそのような内容がぎっしり詰め込まれている。
京都祇園祭の成り立ちと変遷、地域振興の方策、第二次世界大戦末期のさまざまな話など興味が尽きない。
宮本の考えの中に通底しているのは農山漁村が創りあげてきた文化こそ本物だと考えていることである。
続巻の刊行が待ち遠しい。