久しぶりに、この満開を、接写と遠景の写真で紹介したくて撮ったが、その写真がどこに行ったのか見つからなかった。

 わたしの目の前には15センチほどの小枝に咲く、花弁が12輪ほど、お互いの花弁にすり寄っている。

 5枚の花弁は、長さ18ミリでうすい桜色である。それを丹念に眺めると、奥ゆかしくわたしの視線を受け止めてくれる。

 「さくらさん、散らんでおくれ」

 と、話しかけると、桜色のほほが動いた。

 遠景で見ると、うすい桜色の綿のように見えるのは、ここまで花弁が密生するからだと納得した。

 どこまでも、さくらの知恵は奥深いのである。