最近で見たい映画は小さなおうちであった。

 山田監督が第二次世界大戦の経験を映画にしたいと考えていたらしいが、この作品の原作者中島京子さんは戦争を体験していないし、想像してもいないと思った。

 さすがに、わたしと同世代の女性が多く観客数は50人は超えていた。

 山田監督は20代の観客を期待していたと思う。

 赤い三角形の小さな家が、この映画の主役であったと思う。

 モダンではない男がつくったとは思えないモダンな家が昭和10年代にあったのだ。

 配役は旧山田組であった。べりルン国際映画祭で黒木華が最優秀女優賞を取ったのだが、わたしは倍賞千恵子こそふさわしいと思えるぐらい見事に演じていた。若者を称えてもいいが、この映画の主演は倍賞千恵子さんであると思う。

 映画作品とすると、この作品は山田さんが思ったことを撮りきったと思えないぐらい、薄いものに終っていた。

 つまり、反戦をうたうのであれば、戦争の悲惨さをきちんと撮らなければならない。

 登場人物すべてが戦争を称えていたのである。

 山田監督は老いた。この映画は訴えるものがない。

 男女の愛はいつも深い。しかしそれすら描ききれていない。

 戦争を否定する男女の愛こそ、この作品で描ききってもらいたかった。