本書は角川春樹事務所から2007年6月18日に刊行された。

 久しぶりに精読できた。

 多分、主人公が料理人であることが幸いしたのだと思う。

 時代小説の主人公は、同心、浪人、岡っ引きが多い。

 ただ、この料理人も表は料理店の板前、裏は北町奉行の命を実行する家業へと変質を遂げていく。

 表が一流なのに裏を持つとはなかなか変なのだが、その変加減が物語を面白くする。

 物語を面白くするには、人が殺されたり、かどわかされたり、過去があったりしなければならない。

 そういった伏線を主人公は乗り越えて、事件解決を図るわけだが、その事件解決に近づくための道具として食べ物が料理として、熟柿として彩りを添えるのである。

 武士から塩梅屋の料理人となった季蔵、塩梅屋長次郎が殺される。

 この本は長い物語の始まりに過ぎないが、主人公の引きずるものはますます重いものになってくる。


 それにしても精読できそうな作者を知ることが読書に弾みをつけてくれるので年末年始は楽しみである。