本書は新潮社から2013年5月20日に刊行された。
お鳥見女房シリーズは,
お鳥見女房 2001年6月
蛍の行方 2003年1月
鷹姫さま 2004年9月
狐狸の恋 2006年8月
巣立を 2008年11月
幽霊の涙 2011年9月
来春まで 2013年5月
と、10年以上にもわたり諸田さんは書き続けている。
矢島家は御鳥見役を世襲する御家人である。御鳥見役とは鷹狩をする際の鷹場を管理し、鷹場のうさぎや鳥などの生息状況を確認し、鷹狩の準備をなす仕事である。鷹匠は旗本が就任する役目である。
この家の長女として生まれた珠世さんが、伴之助さんを養子として迎えるころからの話である。珠世さんは2男2女を立派に育て上げ、家督を継ぐ長男には鷹姫さまを嫁に迎え、そろそろ第一子誕生を控えている。次男は旗本の家に養子に行き、そろそろ家督を譲られる時期に来ている。2女もそれぞれいいところに嫁ぎそれぞれの悩みがあるにもかかわらず暮らしている。
矢島家には「来る者は拒まず」の家風があり、多くの人を結果的には救ってきた。
その事件の多くに珠世さんが、しっかりとした人間観を背景に、自ら交渉したり、肉親、親しい人たちの手を借りて解決に導き、事件に遭遇した人々がそれからの人生を歩けるように手伝う。
本書は、
女心、新春の客、社の森の殺人、七夕の人、蝸牛、鷹匠の妻、来春まで
の七話で編まれている。
珠世さんに欠点はないし、夫、長男、次男にも欠点が見られない。
夫婦、親子関係が信頼でつくられてしまっているので、その暖かさはよいとしても、やはり夫婦、親子関係は純文学にしか書けないのだろうかとも思ってしまう。