諸田さんの怨念のこもった書であると感じた。

 この本は2012年5月15日に講談社文庫から発行された。

 諸田さんの描く女性は落ち着いて物事に対処し、人を信頼する。

 本書の主人公は21歳の複雑な環境の中で湯屋の養女になった女性である。

 この物語では、江戸の華、火災にあい、湯屋と養父を失った女性の意思の強固さと知恵で湯屋を再建するまでの物語である。

 湯屋の近くの長屋まで、元通りにし、長屋の所有主であった娘さんまで同時に救う、神業まで見せる。

 天女と周囲から認められている女性、つまり周囲からの期待、願をかなえようとする意思の強さ、運の強さをバックボーンにして、気持ちよく読み進むことができる。

 天女湯は再建し、盗人夫婦、役者崩れの遊び人、島帰りの男と社会の日陰にいる人間を天女おれんは雇う。

 天女湯に集まった人間の共通の目的意識はお上に一泡吹かせるというもの。

 その用意のために天女湯には、隠し部屋まで拵えてある。

 正業としての湯屋、その実態は、と言ったところだが、続編に大きな期待が持てる。