関東ではたぶん午前9時前後であろう。
光が差し込んだ。
周囲を見回せば、自転車置き場が被害を受けていた。
スタンダップしている自転車は一台もない。
みごとに横倒し。
先日、隣の奥さんが雨に濡れたご自分の自転車をいたわるように拭っていた。それを見ていたわたしは、その奥さんの自転車を倒したわたしの自転車を起こしに外に出た。
自転車は変な機械で、ごちゃごちゃである。
謎解きをするように絡み付いている個所を引き離しようやく起こした。最後に奥さんの自転車を起こし、台風前の姿に戻した。
さすがに、人は世間に出てきていない。
チャンスとばかり、ゆうちょ銀行に行った。
わたしの前には一人だけ。
ゆっくり待つ。
わたしの後ろに二人並んだ。
予定の額を下ろし、昨日の懸案を解決した。
こんな緊張感で毎日暮らすことの無意味さを味わいながら人間は生きていくのだろう。
スーパーも空いていた。
稼働レジは8つのうちの3つであった。
昼と夜の食材を買い込み帰宅。
さあ、午後にはエアコンの取り付けがある。
母が使っていたエアコンである。
わたしはエアコンは嫌いなのであるが、母のエアコンであるので再利用しようと考えた。
母の遺品は母が海外旅行で残した各国の小銭。
これさえ残しておけば、母が元気に海外を観て回った姿を思い浮かべることができる。
そういえば、海外旅行用のバッグも姉から押し付けられた。
母とはシンガポールに行っただけである。
国内は西は伊豆半島、東は酒田まで案内した。
姉の車を運転していったのだが、
「ああ、この車でまさかこんな所まで来ることができるとは思わなかった」
とつぶやいていた母が懐かしい。