「みをつくし料理帖」シリーズの第一弾が『八朔の雪』であり、2009年5月18日に角川春樹事務所のハルキ文庫から刊行された。
そのシリーズの第7弾が『夏天の虹』で、2012年3月18日に刊行されている。
時代小説家と言われている方は、山本周五郎、池波正太郎、吉川英治、柴田鎌三郎、藤沢周平、とおられるが、わたしは好き嫌いはあるが、ほとんど読んでしまった。
それで今年から、生きている時代小説家の作品を読むようにしてきた。
風野真知雄、岳真也、佐々木祐一さんなどが目に入り、高田郁さんも目立った。
そこで読んだのが2冊であった。
あっという間に読了した。
澪さんという料理人が自分の夢を実現するために、つる家という料理屋で創造料理を案出し、料理人として成長する姿を描いている。澪さんが支えようとする人間がいるのだが、かえってその人間に澪さんが支えられる。人間は支えたり、支えられたりしながら生きるという高田さんの考え方が鮮明になる展開は心地いい。
シリーズ名が語っているように、大阪の名料亭で料理人の修業をしていた澪さんは舌と鼻に優れた能力を持ち、素直で向上心の強い女性である。その料亭が火事で主などを失い、澪さんは御寮さんと呼ばれる料亭の女将さん芳と江戸に出てくる。名料亭の江戸店があったからである。しかし、その江戸店も消失していた。
さあ、澪さんはどうなるのか。
江戸っ子の特徴を随所に出しながら、高田さんは縦横自由に書き進める。
涙なしには読めない、いい作風の時代小説に巡り合えたと思っている。