文春文庫から2013年2月10日に刊行された、切り絵図屋清七の第三作目である。

1作目の『ふたり静』、2作目の『紅染の雨』は読んでいた。

 なにせ、わたしは隠れ藤原ファンなのである。

 藤原さんがフィクションの中で創りあげる人物には、完璧ではないが魅力的な人間が描かれている。

 中でも、物語のかなめとなる男性は優しさと剣術の卓抜さがもたされている。

 行動では勇敢で、人間には優しい。

 女性も優しくて、社会に向き合える力を持っている。

 物語は、この優しさに包まれて、心地よく進行する。

 安心して読める作品が藤原さんの人柄から生み出されていると、わたしは考えているのである。

 さて、本作品では、切り絵地図で商売の基礎を作った清七がさらにその道にまい進するわけだが、事件に遭遇する。

 思いがけず、父親の助力をするようになり、武士に戻るわけだが、物語はさらに進行するようになり、とりあえず終わる。

 楽しみである。