佐伯さんの人気シリーズの一つである「密命」の最終になる26巻として祥伝社文庫から平成23年12月20日に刊行された。

 寒月霞切りを編み出した剣客、金杉惣三郎の青年期から晩年までの戦いと家族・他者を丹念に書き込んだドラマであった。

 惣三郎は天覧試合で、予想外の行動をとる。

 第一位になることが予想されていた息子の清之助に惣三郎は弟子とした神保桂次郎をあてようとした。

 結果は決勝まで進んだ桂次郎であったが、それまでの試合で桂次郎は傷を負い亡くなってしまう。

 その行動の謎解きと決着が最終巻の大きなテーマとなっていた。

 剣客として生きることを自らに覚悟した惣三郎は、家族から離れ生きる。

 その最期は、何とも痛ましい。

 一芸に秀でいても、剣の道で晩節を全うすることは、難しい。

 戦いの中で生命を終わらせることが剣客としての生きざまの美であろうと作者は、晩年の節操をそこに求めた。

 生まれ故郷で晩年を送らせるか、家族のもとに帰らせるか、道に倒れさせるか、いろいろとあるとは思うが、剣を手にして死なせた作者は生み出したとき、その死に際を考えていたのだろう。