本書は2012年5月21日に講談社から刊行された。
三木卓の奥さんである福井桂子との出会いから桂子の死までを丹念に綴った小説である。
夫婦の尋常ならざる物語ともいえる。
三木は小児まひの後遺症で左足が不自由というハンデを負って生きてきた人間である。
恋をするには、なかなか思うようにいかないものがあったに違いない。
ところが、福井桂子と会ったとたん、交際を申し入れ、受け入れられる。このとき二人は詩人同志として出会ったことになる。
詩人は常識では行動しない。桂子はお泊りセットを用意し三木のアパートに入り込む。
三木は恋と愛を同時に手にいれ、自信をもてるようになる。
同棲はしばらく続くが、結婚する。
桂子は御嬢さん育ちなので、風呂の焚き付けはできない、金銭管理は不得手と共同生活者としてはかなり疑問符がつくが、幹はたじろがない。
三木が小説家としてやっていけるようになると、桂子は自宅ではなく仕事場を決めて、そこで仕事をするようにしてしまう。
「あなたには自宅にいてもらいたくない」
が、理由である。娘が誕生後はさらにその傾向が強まり、大晦日だけ帰宅となる。
その桂子が発病する。
「わたしが病院に行くときは必ず付き添うこと」
これは夫婦間の約束事項であり、三木は律儀にその約束を実行する。
生きようとする桂子、生き続けさせようとする三木。
しかし、2007年9月26日、72歳9か月で桂子は逝く。
2人で暮らしたのは、47年であった。