舞台は高知県である。
カツオのたたき、坂本竜馬、くじらとなると漁業県である。
観光の主役となるほどのものはない。
そこで作ったのが、映画『県庁おもてなし課』なのであろう。
原作は有川浩(ありかわ・ひろ)さん。女性である。
原作の良さは、若者の心理と行動をきちんととらえているところにある。
ただ、お役所仕事から抜け切れない、スピード感、民間の企業意識のなさを強調しすぎだったのはいただけなかった。
おもてなし課の掛水史貴(錦戸亮)は高知県出身の人気作家、吉門喬介(高良健吾)に観光大使の就任を依頼し、了解を得る。
そして、就任依頼後34日間、掛水は吉門に何の連絡もせず、放置する。
そこへ、吉門からの電話で、
「役所の人間でない若い女性の登用、パンダを県に呼ぶことを発想した人間のことを調査しなさい」
の2点を課題としてつきつけられる。
朝の通勤時間帯で自転車通勤をする掛水をものすごいスピードで追い越し行った県庁アルバイトの明神多紀(堀北真希)をおもてなし課で
採用。
パンダを呼ぶことに失敗し、県庁を追われた清遠和政(船越英一郎)にアプローチするが、清遠の娘、佐和(関めぐみ)に水を浴びせかけられてしまう。
こうして主人公が出そろったところで、物語は進展する。
おもてなし課の観光コンサルタントに就任した清遠は、高知県すべての自然を観光資源にするプランを提示する。
掛水と明神は奔走し、ぐっと距離が短くなる。
東京に在住していた吉門が高知空港に降り立つ。
向かう先は、民宿清遠。
佐和に告げたいことがあったのである。
結局、清遠を追い落とす県庁内勢力に敗れたおもてなし課は、
吉門の出演するテレビに掛水が同席。頼りないが、真摯におもてなしを語る掛水の姿を知事が見ている。
いまも、おもてなし課は存在し、活動している。
ということは、掛水と多紀、吉門と佐和もうまくいっていることを願いたい。この4人を演じた俳優はこれから先楽しみである。
しかし封切り直後であったが、観客は23人であった。
普通の人を主人公にすると、ドラマは平板になる。
普通のドラマを盛り上げる工夫こそ監督、キャスト、脚本の責任であろう。
