本書は2010年2月10日に文春文庫から発行された。

 文春文庫には面白そうな時代小説が収録されている。

 新しい作家を目録の簡単な解説から探すのは容易である。

 タイトルがわからなかったが、解説に、

 「小藩で同じ剣を12,3歳で学びあったが、いっぽうは藩の国家老として腕を振るい、いっぽうは小禄のまま仕えた者同士が、50代になり友情を取り戻し、いっぽうのためにいっぽうが力を貸す」物語である。

 小藩、友情がテーマであると、つい読んでみたくなる。

藤沢周平さんの影響がわたしに色濃く投影している。


 日下部源五は体力が取り柄の武士である。しかし剣と鉄砲をよくする。松浦将監は国家老。剣も血筋でよく使い、そのうえ絵に優れた才能を発揮している。

 藩の領地替えで、松浦は藩主とその取り巻きに疎んじられ、隠居に追い込まれる。

 しかし、執政としての命の使い切りを己の使命とした将監は、脱藩を決意する。助けるのが源五。

 脱藩に成功した将監は江戸へ、源五は囚われの身に。

 結局、将監の思惑は成就し、源五は無罪放免になる。

 この二人の生きざまを見る限り、物語としたら読ませるものがあるが、政治に影響される農民はたまらない。

 それでも銀漢とは天の川であることもわかったし、友情の在り様もわかり、人間も捨てたものではないと思わせてくれる作品であった。