久しぶりに力仕事をした。


 築30年の実家の物置の屋根にブルーシートをかぶせる、キッチンの網戸をきちんとはめ込むという仕事である。


 まず、物置小屋を見る。

 屋根の一部が飛んでしまい、補修をしなければならないのだが、所有主の姉はこの家土地を売り払う決心をしているので、余計なお金を使いたくないので、弟のわたしに、壊れた屋根にはブルーシートをかけさせることにしたのである。

 簡単にできると思っていたが、屋根には釘があちらこちらに突き出ていて、まずそれを取り除かなければならなかった。

 高いところでの作業は、わたしはやったことがない。

 落下しないと心に決めて、釘抜き作業をした。

 怖い。高いところにいることと、落下の恐怖。恐怖の二重奏である。

 

 釘を何とか抜いてから、横3メートル、縦4メートルのブルーシートを屋根の上で広げながら、すっぽりきれいに覆えるように工夫しながら広げた。

 うまくいった。

 次は、ゴムベルトでブルーシートを止める作業である。

 

 隣の家との境目に建てているので、軒が一杯に出ているので、自由に動き回れない。

 安全を念頭にともかくはみでたブルーシートを止めることに成功した。

 あとは、じゅうたんを止めるときに使う器具で、ブルーシートを止める仕事。

 結構いい木材で建てられた物置小屋なので、その器具を金づちでたたいてもなかなか打ちつけられない。キリまで使って何とか打ち付けた。


 さて、次は網戸の設置である。

 これは、網戸の金具部分を金づちでたたきながら作業したのでなんとかはめ込むことに成功。


 わたしの力は金づちを使うことに発揮されたのである。


 わたしのように不器用で力勝りの仕事しかできない人間は、世を捨て、自分の知恵で生きることができないと思ったしだい。


 いま、腕の付け根の筋肉が笑っている。

 人間、知恵も力もないと、生きづらい。