9日午前10時半。

 待ち合わせの時間である。

 最近は、新宿駅西口改札が待ち合わせの場所になってしまった。

 待ち合わせ時間の10分前には行くようにしている。

 働いているころは、1時間遅れることは当たり前で、それでも友人知人は待っていてくれた。

 当時は携帯電話などなくて、遅れることを伝える道具はなかった。


 その罪滅ぼしをしていることになる。

 

 10時半になる数分前にはわたしを入れて4人が集合する。


 東京蕎麦名店会に加入している「手打ちそば渡邊」に行く。

 わたしのお奨めは、みぞれしらすそば。

 全員が注文。

 あっというまに昼食終了。

 出際に、店員さんに聞く。

 「この近くに喫茶店はありますか」

 「この2階にあります」


 行ってみた。

 最近、新宿には喫茶店が姿を消していると思っていた。

 少なくともわたしがよく行っていた3軒はない。

 話をする場所がないことを、わたしはさびしく思っていたのである。


 30人は入れる喫茶店が営業していた。

 そこに何と2時間いたことになる。

 連れの一人は、

 「コーヒー一杯で2時間もいてもいいのかしら」

 と、言ったが、その感覚こそおかしいと、わたしは思っている。

 喫茶店は、居たいだけいられる場所である、がわたしの常識である。


 今後この喫茶店をホームグラウンドにしようと思い、名前を覚えようとしたが「ル カフェ ドゥブルベ」。

 レジの店員に、

 「名前を覚えたいが、ちょっとね」

 と言った。

 「昔は喫茶渡邊と言っていたそうです」。