今日は映画を2本観賞した。
まず『草原の椅子』を観て、『遺体 明日への十日間』を観賞した。
最初に観た映画は宮本輝さんの同名の小説が原作だ。
純文学の名手の作だけに、洒落ていた。
雨と星を効果的に映像に取り入れて、いい仕上がりにしてあった。
芸達者の佐藤浩市と西村雅彦がいい味を出していた。佐藤さんが主役であるが。西村さんがしのいでいた。
人間を結び付ける役割を持った貞光奏風さんは、4歳児の設定で、児童虐待、育児放棄の母親にトラウマを持ち、周囲の暖かさで徐々に回復していく役どころを、うまい、とわたしを感じいれさせた。
タイトルは草原の中であるからこそ、居場所が大切であるとの原作者のメッセージかと思うが、その役どころは佐藤、西村、吉瀬、貞光が担っていたのだが、いい演技で演じきっていた。
この映画の売りは、パキスタンのフンザである。この場所が4人の絆を深める。
少年、貞光さんはフンザには写真集を見て友達がいると感じていた。佐藤さんはその写真集のカメラマンから聞いたフンザの長老が瞳の中にある真実を見抜く力があることを知り、貞光さんの瞳にあるものを知りたいと思ったこと。それがフンザ旅行のきっかけになったのだ。会社経営に行き詰まりを持っている親友、西村さん、これまでの生き方に疑問を感じている吉瀬さん。四人のフンザ旅行が四人の未来に明るさをもたらす。
星の輝きが東京では見ることが無くなったが、フンザの星☄は気高く美しかった。
貞光さんの瞳の美しさが特段であった。
映画が終演して、何人かの人と感想を話し合った。
『遺体 明日への十日間』は『ご遺体』とすべきであった。
原作は釜石のご遺体安置所を取材したジャーナリストの本が原作である。
西田敏行さんの抜群の演技で、十日間の物語が伸展する。
市役所の職員、医師役の佐藤浩市さん、歯科医師役の柳葉敏郎さんが脇を固める。
非常事態なのでストレートに市長に掛け合う状況が頻出する。
それなのに、わたしが演技力を認めたのが歯科の看護師役をしていた女性である。以前非常に世話になった社長が水門を閉じるために命を落とした。それを知ったときは仕事より情を優先させた。ところが、焼き場に同行を求めた社長の奥さんの願いを、突然断る。職務優先の演技をさせるのである。
わたしは、ここが残念であった。とことん、情に流されていい状況であると思ったのである。そういう演出をすれば、名前がわからないが、この演技者は一層輝いたと思った。
それにしても、死者、行方不明者1万人を超えた東日本大震災の津波。ご遺体安置所をテーマにしているだけに、涙、涙、また涙。観客みな同じなので、涙を隠す必要がない映画であった。
ただ、西田さんにやたら説明させる演出には、くどさばかり目立ち、西田さんが気の毒になった。ジャーナリストの軽薄、説明が脚本に反映し過ぎていたと残念に思った。