わたしは大学に入って、初めて地方出身者と出会った。

 いまでも、付き合いのある友人は、鹿児島、高知、静岡、神奈川出身者である。

 以前も、いまも自分には温かい風土で生きてきた人間にしか親しみを感じないのか、と思っている。

 しかし、団塊の世代は長い人生を生きなければならなくなっている。

 そこで、自分の常識では思いもつかなかった現実に出会う。


 職場では札幌出身者と仕事を共にしたことがある。いい人だとは思ったが、自分が北国の人と友達になったという気がしていない。

 相変わらず、自分は北の人々とは距離があると思っていた。


 ところが、2年前に、岩手出身者と知り合う機会があった。

 先日、テレビで宮澤賢治と妹との関係を詩集「永訣の朝」で紹介していた。

 妹さんこそが、人のために生きると決めて生きた人間であり、賢治は妹さん亡きあと、その妹の遺志を継いで生きたといううのである。

 

 岩手の人間の優しさ、無私の心に触れるにつれて、北国の人間が身近に感じられるようになった。

 今週末から友は、数年ぶりに実家に帰るようである。