今回の事件帖の主役は『論理学入門』(ヴィノグラードフ・クジミン著、青木文庫版)。わたしにとっては遠い世界の本である。

  しかし、身近に感じる人もいる。そんな中の二人が今回の副主人公(中村獅童と佐藤江梨子)である。

  

  ある日、鎌倉で囚人脱走のニュースが流れる。そんな時、息を切らせて、コートのボタンもきちんと掛けていない男が、ビブリア古書堂に来店し、『論理学入門』を売りたいという。住所名前を書いてもらい、 査定をする時間をくださいと言うと、男(中村獅童)はあわてて、翌日午後4時に来ると言い残して去る。

  その本には、夫婦生活を続ける男と女(佐藤江梨子)を結び付けた思い出が塗り込められているのである。

  自分を馬鹿だと思っていた女の人生観を変えさせたのが、男が『論理学入門』に書いてあったことばを使ったことによる。

  男は、

  「この本にも書いてある(女に文庫本を見せながら)。三段論法は馬鹿な人間には使えない。三段論法を、いま君は使った。だから君は馬鹿ではない」と、言った。

  

  この男は読書家である。その男が、本を手離す。

  ヒロインの栞子は、男が古本屋に手離した本を調べる。その時に見たものが最近3か月の雑誌にはスリップがはさんだままという事実確認をし、男がなぜ本を手離すことにしたかの真実を突き止める。


  この事件手帖のよさは、血も暴力も人間の卑しさもないことである。

  いまを、精いっぱい生きようとする人間を描いていることである。


  女が本を取り戻しに来たり、男が脱走犯の容貌に似ているなど、どたばたはあったが、ビブリオ古書堂に関係者が顔をそろえたところで、栞子が謎解きをする。

  男が失明の恐れのある眼病にかかっていることを雑誌のスリップからわかったと解説する。

  さらに、『論理学入門』に貼付されていた「私本閲読許可証」のことを夫婦間で解決しなければならないと示唆する。

  このときの、剛力さんの台詞回しが、少し気になった。優しさが欠けており、棒読みになっていると感じた。

  原作では、栞子は本の話になると饒舌になる、とある。

  饒舌には感情が入るはず、が私の見方。

  

  女は、男の代わりに自分が読み手・語り部になると言い、前科のこともわかっていたと言った。

  次回作が楽しみである。


そうそう、原作のビブリア古書堂は北鎌倉にある、しかしテレビでは江ノ島電鉄沿いにしている。江ノ電は絵になるが、ビブリア古書堂と剛力彩芽さんは北鎌倉が似合うような気がするのだが。