いずれも、現在、時代小説の牽引車となっている。 
 上田さんは、「奥右筆秘帳」シリーズで真骨頂を発揮している。
 鈴木さんは、「口入屋用心棒」シリーズに特色を発揮している。
 いずれも、時代背景は江戸時代だが、描く対象がかなり違う。
 上田さんは江戸城づめの、奥右筆を主人公に、小旗本の次男坊を脇役にして、物語を展開している。
 鈴木さんは、江戸の市井を舞台にし、ある藩を脱藩した浪人とその知り人たちが事件に追い回される物語。
 舞台によって物語は、それぞれの形式に収れんされる。
 上田さんの物語は、将軍をすら巻き込む権力闘争、鈴木さんのほうは、権力闘争あり、市井の闇を剣術で解決するストーリーありで、退屈しない。
 
 小藩の藩士を主人公にした作品が多い、藤沢周平さんと比べると、登場人物の内面に物足りなさを感じるが、両氏の作品の今後は楽しみである。