大滝秀治さんが亡くなられた。
 映画を観ても、テレビを眺めていても、
 大滝さんがシーンに出てくると、なぜかそのシーンが締まり、ドラマが精彩を帯びてくる。
 わたしは、映画『不毛地帯』で初めて、大滝さんを見かけた。
 政府の高官役で出ていたのだが、様になり、存在感があふれ、憎たらしい感じだった。
 主役でもないのに、なんなんだ、この存在感は。人間の実存感があったんですね。

 「脇が甘い」と人間はボロを出す。
 したがって、名作をつくる映画監督は、名脇役で主役を生かそうとする。
 山田洋次監督作の『寅さん』シリーズには、多くの名脇役がいた。おいちゃん、おばちゃん、さくら、ひろし、社長。脇役だが、この役を演じる俳優がいなければ、寅さんは単なる極道にしかなかったであろう。マドンナもこの名脇役がいたからこそマドンナになれたのだと思う。

 名脇役として、さまざまな人間を演じ続けた大滝秀治さんの後継者が現れることを祈る。