20代から、本格的に温泉に行ったと、思い出す。
 会社の慰安旅行と称する1泊旅行だった。
 志賀、草津など有名温泉はそこそこ足を運んだ。
 年を取り、時間ができると、
 長時間の滞在を目指したくなる。
 長期間だと、お金がかかる。
 
 湯治が長期間滞在できる、日本の知恵と知ったのが始まり。

 福島の猪苗代湖のちかくにある中の湯温泉を知った。
 昭和20年代から創業した建屋が今に残る、典型的な湯治宿である。
 食事は自炊。
 食料は自分で持ち込み、湯船にはつかり放題。

 含鉄単純泉、36度、かけ流し。

 おかみの達筆で、長湯を注意する張り紙が脱衣場に張られている。

 わたしはふだんは烏の行水なのだが、この湯には1時間は入っていられる。

 湯治場が湯治場であった時代こそ、自分をいたわる思想が生きていたのではないか、
 ふと思った。