前回までに、いじめが深刻化するのはどういう時か、についてお話ししました

 

今回は、いじめをする子の心理についてお話ししましょう

 

【遊び感覚】

これはシンプルですね

「目の前に笑えるネガが転がっているから」

 

つまらない日常を笑い飛ばしてスカッとした気分を得るための手段としていじめが存在しているのです

 

大人からすると、いじめというのは排他的なイメージ、例えば、特定の子を「ばい菌」と呼んで仲間外れにするものが多いでしょう

 

しかし、近年は子どももネットを平気で使うようになり、理由も脈絡もなく、その場のノリで、いじめが始まってしまうのです

 

【閉塞感】

これは「ムカつく気持ちをどこかにぶつけたい」という思いがいじめとして発露した結果です

 

子どもというのは、大人が思う以上にストレスを抱えています

 

学校、家庭、習い事、部活など、大人の押し進める競争社会に巻き込まれた子どもたちは、かつて我々が楽しい日常として過ごしていた環境ですら、ストレスの原因となっています

 

そういったイライラを誰かにぶつけることで、ストレスを解消しているのです

 

【思春期】

これは前回までにもお話ししたことですが、「心のエネルギーをコントロールできない」ということです

 

小学校高学年から中学2年生にかけた、思春期真っただ中

 

その期間に急増する性ホルモンの影響で、自身の衝動をコントロールできなくなることで、深刻ないじめが始まってしまうのです

 

【意識】

「そもそもこれはいじめではない。ふざけているだけ」という考えを本気で抱きながらいじめをしている子どもも多くいます

 

これは大人に対して嘘をついているのではなく、本人たちも本気でふざけているだけだと思っているのです

 

いつもいっしょにいるグループで、ある日突然、特定の一人が攻撃対象になることはよくあります

 

こういう場合、被害者には「からかわれる役割」を期待し、被害者がそれを嫌がると攻撃がエスカレートします

 

そうした集団の中では、誰かをいじめることでグループ内での序列が作られ、まとまりが強くなるのです

 

こうした集団に対し、大人は「仲良しグループ」としてくくってしまい、集団の中で行われているいじめを見逃してしまいがちです

 

【優越感】

いじめの加害者は、誰かをいじめることで優越感を感じ、自分が強くなったと感じているケースもあります

 

いじめのリーダー格になるような子どもは自己愛が強く、「自分は強い」という思いを持っていることがあります

 

しかし、実際に自信があるというよりは、単に自己イメージが膨らみすぎているだけ

 

この場合、ただの思い込みではなく、本当に自身のある子ども、自分より強い子どもの存在が許せなくなってしまいます

 

そのため、その自分よりも優れている子どもをいじめることで、自分はその子どもよりも上の存在である、と思い込む、攻撃こそ最大の防御という手法を取ってしまうのです

 

【正当化】

いじめの加害者の多くは、「いじめられる側にも問題がある」と自分たちの行いを正当化します

 

これは、決して「理由があるからいじめられる」ということではありません

 

いじめの理由というのは、後から作られるものです

 

いじめの理由としては、被害者の行動や性格、身体の特徴、家庭の事情などがありますが、時には事実無根の嘘を根拠にいじめが進んでいくことすらあります

 

いじめを正当化するために作られた嘘がいじめの根拠になり

いじめの加害者が増えることで嘘が広まり

 

いつの間にか、嘘を作った加害者はもちろん、被害者までその嘘を信じてしまい、誰もがそのいじめを正当なものだと思ってしまうこともあります

 

【ストレス】

時には、「この子がいじめなんてするはずがない」と大人に思わせるようないい子であっても、いじめの加害者になっていることがあります

 

これは、人間の二面性というよりは、子どもの「大人にはいい子の自分を見せていたい」という心理があります

 

誰でも悪意や敵意を持つことはありますが、これ自体は人間として自然なことです

 

しかし、現代日本の教育では、悪意や敵意は悪いものとしか教えません

 

そのため、子どもは大人の前では「いい子」を演じるようになります

 

思春期前の子どもなどは特に、自分が演じているという自覚すらなく、ごくごく自然に「悪い自分」を押さえつけていることもあります

 

しかし、自身の感情を抑制することは子どもにとって強いストレスとなります

 

それで無理が来た時、近くに転がっているのは「正当な理由があるからいじめてもいい相手」です

 

こうなると誰にも止められず、ため込んだ悪意を被害者にぶつけてしまうのです

 

【防衛】

いじめの加害者は集団を作って一人の被害者を追い詰めることで、大人に露見しないように防衛線を張っています

 

いじめを取り巻く集団には、加害者(リーダー、いっしょにいじめる子ども、見て面白がる子ども)、被害者、傍観者がいます

 

傍観者は「知っているのならちゃんと先生に言いなさい!」などと怒られることもありますが、実際に大人に相談すれば密告者、被害者をかばえば集団のノリを無視したとして次のターゲットにされてしまいます

 

時には傍観者でいることすら許されず、「次はお前」という脅迫めいた雰囲気がつくられていくこともあります

 

こうして集団全体がいじめに加担することで、大人はいじめに気付きづらくなるのです

 

【モラル】

いじめの加害者は、「いじめは悪いこと」という最低限のモラルすらないこともあります

 

これは、学校の授業で習ったことが頭に入っていないのではなく、教科書の上では悪いことと捉えていても、現実に移して考えられないということなのです

 

そのため、いじめをとがめたとしても反省するどころか「なんで自分だけ」と思ってしまうこともすくなくありません

 

そもそも加害者は、根本的にはいじめの発覚を大して恐れてはいません

 

いざとなったら、「自分一人が悪いわけではない」と開き直ればいいと考えており、またそれは事実そうなのです

 

子どもは大人の背を見て育ちます

 

社会全体として、「自分さえよければいい」という動きがある現代において、子どもたちもそれに倣って生きています

 

そのため、加害者は被害者に与えた痛みを思いやらないのです

 

【恐喝】

いじめには、「いっしょに遊ぶための金だから」と金銭を要求するパターンもあります

 

犯罪ではあるのですが、周りから見ると仲間内での遊びに見えるために発覚しにくいのです

 

最初はお小遣い程度の金額なのですが、だんだんと大金になり、そうなると子どものお小遣いでは到底足りず、万引きや親の財布から盗んでくるように恐喝されるようになります

 

被害者の親も疑問に思いはするのですが、子どもが「脅されていること」を隠そうとするために、金銭をくすねる我が子のことすら信じられなくなり、親にも疑われるようになった被害者は逃げ場を失ってしまいます

 

 

 

今回は、いじめをする子の心理についてお話ししました

 

次回からは、「いじめに加わる子の心理」についてお話しします

 

 

次回まで待てない!早く教えてほしい!...という方はこちらのリンクからどうぞ