綾野剛はなぜ、30歳を過ぎてからブレイクしたのか? 俳優としての特異性を考察


綾野剛の快進撃が止まらない。今夏は主演作『新宿スワン』を皮切りに、『S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』『ピース オブ ケイク』『天空の蜂』と、出演映画が立て続けに公開されるため、役者としてのバリューも含め、一つのピークを迎えた感がある。

ところがそれに反するかのように、筆者の周りやネットでの「綾野く~ん♥」というテンションのファンは減少しているように感じる。

役者にとってある種の理想の状態に綾野が立つことができた背景には、彼がある時期にキャリアと年齢のズレを転機として意識的に利用した戦略が見えてくる。

 お茶の間の女性からのハートマークが綾野に向かって飛び始めたのは、NHKの連続テレビ小説『カーネーション』の周防役からだろう。長崎弁を話す物静かな仕立屋が人妻と禁断の恋に落ち、プラトニックなままお互いの思いに蓋をする。この好青年でありながら、綾野剛のミステリアスな資質が加味されたキャラクターは、12年1月頃、わずか一ヶ月間の出番でありながら、筆者のような朝ドラを見る習慣がない層をも釘付けにした。

 当時、綾野の年齢は30歳。朝ドラでヒロインの相手役を務める新進俳優としては異例の高さだった。

【NHK朝の連続テレビ小説で、ヒロインの恋の相手を務めた男優の出演時の年齢】
『カーネーション』綾野剛 30歳
『梅ちゃん先生』松坂桃李 24歳
『あまちゃん』福士蒼汰 20歳
『ごちそうさん』東出昌大 25歳
『まれ』山崎賢人 20歳

 『カーネーション』の視聴者は、突然自分の視界に周防として入ってきた、まだ色もイメージもついていない綾野剛に対し、デビューしてだいたい5年目、25歳くらいの若手俳優と受け止めたのではないか。しかし、実際は30歳。朝ドラで注目された若手男優は、そこで得た認知度と好印象をベースに、王子様タイプの役や、好感度の高い役を演じてキャリアを積んでいくパターンが多い。綾野にとって、24歳前後の世代と役を競い合い、経験を積むのもひとつの方法だったが、そうすると若手イケメン枠に入れられてしまい、そこからの脱出と、本人が重ねる実年齢との乖離に苦しむことになる。

 それを見越したからか、綾野は朝ドラ男優の正規ルートを放棄して大人の俳優へと急激に舵を切る道を選択し、汚れ役や悪役、マイノリティの役、性的描写のある役柄、人間の汚い部分に目を向けた作品やそれを体現する役柄に次々と挑戦していく。『ヘルタースケルター』では、沢尻エリカが演じるりりこに骨抜きにされる男を演じ、濡れ場にも挑戦した。ドラマ『クレオパトラな女たち』や、『横道世之介』では、ともにゲイの青年役を演じている。『るろうに剣心』では顔に傷のある敵の外印役。主演作『シャニダールの花』ではシュールで耽美な作品世界に咲くさみしげな目をした植物学者を、『夏の終わり』では主人公の愛人を、そしてドラマ『最高の離婚』では優柔不断なモテ男を演じた。どの役もミステリアスでクール、不幸の匂いと弱さがあり、その足元から伸びる影を女たちは追わずにいられない。その最高峰が、『そこのみにて光輝く』だ。トラウマを抱え人生を諦めている男を演じるにあたり、自分を汚すことを厭わない綾野は毎日飲酒し、むくんだ顔と身体で現場に立っていたという。池脇千鶴との魂の交換といえるベッドシーンも、綾野の俳優としての成熟を証明し、彼は本作で数々の映画賞を受賞した。


20代の頃は『クローズZEROⅡ』で演じた漆原に顕著な痩身、長髪、色白、中性的なルックスだったが、現在はだいぶゴツく厚みを増した体つきに、無精髭、ボサボサの頭、目の下にくまがある状態がデフォルトスタイルになっている。『ガッチャマン』や『闇金ウシジマくん』『ルパン三世』といった作品の実写化作品で、すでに存在するキャラクターに外見から思い切り寄せて作りこむアプローチを取ってきたこともあり、3年という短期間で違和感なくイメージを変化させることに成功したのだろう。彼自身インタビューで「◯◯な役はイケメンにまかせます」と発言するなど、やはり、若手イケメン枠からの脱出に対して自覚的だったことが伺える。

 綾野と同世代で主演クラスの俳優は、妻夫木聡(34)、藤原竜也(33)、向井理(33)、小栗旬(32)、瑛太(32)、松田龍平(32)、山田孝之(31)、小出恵介(31)、森山未來(31)、松山ケンイチ(30)と粒ぞろいだ。綾野と、大学を卒業してからこの世界に入った向井理以外は、10代の頃から大勢の同世代俳優がキャスティングされる学園モノやヤンキーもので競い合い、舞台にも立ち、トライ&エラーを積み重ね、ここまで生き延びた猛者たちだ。綾野はその時期をショートカットして、多くの俳優をごぼう抜きし、わずか3年でこのAクラスの俳優たちに肩を並べて立っている。この異例のキャリアそのものが、綾野の特異性を象徴しているといえる。

 それができたのは、本人も認めているように、小栗旬が所属する事務所トライストーン・エンタテイメントへの移籍が大きい。事務所の代表を務める山本又一郎は、かつて沢田研二が主演した伝説の映画『太陽を盗んだ男』を製作した、辣腕映画プロデューサーである。近年は小栗の主演作を製作し、小栗は所属俳優の筆頭として山本社長と二人三脚で歩いている。その小栗が「俺と心中してくんねえ?」と、自らスカウトしたのが『クローズZEROⅡ』で共演した綾野剛だった。移籍後は小栗の監督作『シュアリー・サムディ』や事務所製作の『ルパン三世』などに出演する一方で、大小様々な映画やドラマに立て続けに出演してきた。そして初めて、山本プロデュースで綾野剛の単独主演となった作品が、今年5月に公開された『新宿スワン』だったのだ。俳優としての真価と賞品価値が問われる絶対に失敗できないこの作品は、週末観客動員数でディズニー映画『シンデレラ』の6週連続1位を阻止し、首位スタートを切る。綾野剛は客を劇場に呼べる看板俳優として見事に結果を残すことに成功したのだ。

 
   そして綾野は、10月スタートのTBSドラマ『コウノドリ』で、連続ドラマ単独初主演を果たす。心優しき産婦人科医と、ミステリアスな天才ピアニストという、これまでの役柄とはまったく違うキャラクターでどんな芝居を見せるのか、主演俳優としてドラマの中心にどう立つのか、注目だ。

■須永貴子




これって誉められてるの?(笑)

キャー!綾野くんラブが減ったほうが
役者にとってある種理想=役の幅が広がる


という誉め記事だと受け止めます(笑)





現実問題として、キャーラブという層をターゲットとした「すべてがFになる」と
「ピースオブケイク」が数字的に思わしくないことを考えると、この手の作品では数字が取れない俳優だということなのでしょう…悔しいですけど。


確かに上記の記事の通り、同世代より遅咲きで30代で


綾野剛の壁ドンや顎ぐいで「キャー」っていう年齢層の人たちと、大きな差があるので当然といえば当然。


だからこそ、私もブログで何度か書いていますが、トライストーンなのか剛くん自身の方針なのか


来年以降の公開作として、そういった層がターゲットではない作品を撮ったのは、記事の通りの狙いがあるのだろうと思います。


作り手側に、役者・綾野剛が認められて、足元を固め始める年になっているのではないでしょうか。


コウノドリも
子供のいるお母さん以上が注目する内容ですし(視聴率はどうなるか分かりませんが)


そういったことを意識してるのかも、ですね。





何だか色々書きましたが、一番言いたいことは…



綾野剛の色気は

若い子には、分からんよ!!