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こんにちは。血液内科スタッフKです。

今回はNew England Journal of Medicineからで、ITP治療における抗CD38抗体療法の第Ⅰ-Ⅱ相試験の結果をご紹介いたします。

A Novel Anti-CD38 Monoclonal Antibody for Treating Immune Thrombocytopenia

Chen Y et al, N Engl J Med 2024, doi: 10.1056/NEJMoa2400409

【背景】

免疫性血小板減少症（ITP）は、自己抗体を介した血小板破壊によって特徴づけられる自己免疫疾患である。新規の抗CD38抗体であるCM313による治療により、形質細胞を含むCD38陽性細胞を標的として駆逐することができる。

【方法】

我々は、成人ITP患者に対するCM313の安全性および有効性を評価するための第Ⅰ-Ⅱ相非盲検試験を実施した。CM313は、体重1kgあたり16mgを8週ごとに経静脈投与され、その後に16週のフォローアップ期間が設けられた。主要評価項目は有害事象およびCM313初回投与後8週間以内で、連続して2回以上血小板数が5万/μL以上を記録することとした。患者の末梢血における免疫細胞の状態と、抗CD38療法をうけるITPのpassive mouse modelにおける単核貪食細胞系の変化がモニターされた。

【結果】

本研究に参加した22人の患者のうち、21人（95%）が治療期間の間に2回連続して血小板数5万/μLを達成し、累積奏効期間の中央値は23週だった（四分位範囲 17-24）。初めて血小板数5万/μLを達成するまでの期間の中央値は1週（範囲 1-3）だった。試験期間中に起こった最も頻度の高い有害事象は、投与時反応（患者の32%）と上気道感染症（同32%）だった。CD38標的療法後、末梢血のCD56^dimCD16⁺のナチュラルキラー細胞の割合、単球でのCD32b発現、ITPのpassive mouse modelの脾臓におけるマクロファージの数の全てが減少した。

【結論】

本研究において、抗CD38標的療法は、抗体依存性の細胞を介する血小板への細胞毒性を阻害することによって迅速に血小板レベルを上昇させ、形質細胞を駆逐することにより長期間の効果を維持し、概ね低グレードの毒性であった。

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抗CD38抗体は、ITPの原因となる自己抗体を産生する形質細胞をはじめとする様々なタイプの免疫細胞に作用することが知られており、いかにもITPに効きそう･･･ということで、新規抗CD38抗体の臨床試験が行われました。CM313は、既存の抗CD38抗体であるダラツムマブとは異なる構造を持つ抗CD38抗体で、安全性プロファイルに優れる可能性が期待されています。今回は第Ⅰ-Ⅱ相試験で、患者数が少なく観察期間も短いため、長期安全性については今後の大規模試験も確認しないといけませんが、多ラインの治療歴のある難治性ITP患者に対しても有望な奏効を示しました。

おまけ

何ともフォトジェニックなポテトサラダを食しました！

【NEJM】免疫性血小板減少症に対する新規抗CD38モノクローナル抗体療法の第Ⅰ-Ⅱ相試験