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こんにちは。血液内科スタッフKです。

今回はNew England Journal of Medicineからで、最近何かと話題に上ることの多い、CAR-T細胞療法後の悪性リンパ腫についての論文をご紹介いたします。

Risk of Second Tumors and T-Cell Lymphoma after CAR T-Cell Therapy

Hamilton MP et al, N Engl J Med 2024, doi: 10.1056/NEJMoa2401361

【背景】

キメラ抗原受容体（CAR）T細胞療法後の二次がんリスク、特にウイルスベクターの組み込みに関連したT細胞性悪性腫瘍のリスクは、新たに発生している懸念である。

【方法】

我々は、自施設での養子免疫療法であるCAR-T細胞療法についての2016年からの臨床経験をレビューし、二次がん発生頻度を確認した。二次性T細胞性リンパ腫の一例において、患者の腫瘍、CAR-T細胞、正常造血細胞を調べるために、広範囲にわたる分子学的・遺伝学的・細胞学的技術が用いられた。

【結果】

我々の施設でT細胞療法を受けた、計724人が試験に組み入れられた。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対してaxicabtagene ciloleucelで治療された患者一人で致死的なT細胞性リンパ腫が同定され、二つのリンパ腫が深く調べられた。それぞれのリンパ腫は分子学的に明瞭な免疫形質と遺伝学的なプロファイルを有していたが、どちらもEpstein-Barrウィルスが陽性で、DNMT3A遺伝子とTET2遺伝子変異のあるクローナルな造血に関連していた。複数の技術を用いたが、発がん性のあるレトロウイルス組み込みの所見は認められなかった。

【結論】

我々の結果から二次がんはまれであることが強調され、クローナルな関連性の定義やウイルスベクターのモニタリングにおける枠組みを提供するものである。

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CAR-T細胞療法後にT細胞性リンパ腫を発症した患者さんの検体を用いて、網羅的な解析を行った報告になります。徹底的に調べました！という感じで、スタンフォード大学の底力はすごいなと感心させられました。データについては原著をあたっていただきたいですが、要点としてCAR-T細胞療法後の二次がんの頻度は低かったこと、そして今回同定されたT細胞リンパ腫は、おそらくCAR-T細胞そのものとの直接の関連は乏しく、患者背景疾患や（CAR-T細胞療法も含む）使用された薬剤など複雑な因子が重なって発症したことが、数々の実験により推測されました。

おまけ

夏野菜が少しずつスーパーに並ぶようになりましたね。と言うわけで、ラタトゥイユ風の煮込みを作りました。

【NEJM】CAR-T細胞療法後の二次がんとT細胞性リンパ腫のリスク